ライフ・イズ・マジック

人生はマジックだ、なんて言い方そのものが怪しいでしょ。
ひょっとしたら、マジックってのは、
宗教の種かもしれないし、驚きの商品化かもしれないし、
人類最古の情報産業だったりもして。

軽い笑いもとれるし、ちょっと好かれたり嫌われたり、
ひとつの国をまるごとだまし取るようなこともできる。
いま、マジックを考えたり感じたりするのは、
なんだかとても大事な気がするんですよ。

おおげさな紹介はよしましょう。
マジック・ナポレオンズのパルト小石さんです。どうぞ!

ナポレオンズのHPは
http://www.tvland.co.jp/napoleons/
e-mail:napoleons@tvland.co.jp

病室からの大脱出!?

何度目かの入院生活が始まった。

ヒマな時間は、持ち込んだDVDを観る。
今日の映画は『アルカトラズからの脱出』。

未だ脱獄に成功した者のいない、
離れ小島の刑務所。
そこから見事、脱獄に成功!?

そんな映画を観ながら、
「病室から脱出するには?」
などと、しょうもないことを考えたりする。

病室のドアに鍵は掛かっていない。
しかし、病棟から出るには
看護師さんにドアを開けてもらはなくてはならない。

「外来検査に行ってきます」
とでも言えば、すんなり開けてくれる。

その後はエレベーターを乗り継いで外来病棟に
移動、出口へと向かえば、脱出完了。

ただ、入院棟では24時間、
支給されたパジャマ
(これがシマシマ、囚人服のよう)姿。
パジャマのまんま、外に出るのは難しい、
というか恥ずかしい。

囚人服のまま、シャバを歩けないのと同じだ。
ちょっと、いや、だいぶ違うか。
でも、パジャマ姿で街を歩くのも相当にアヤシイ。

そこで、まず普段着を着て、
その上からパジャマを着る。
で、外来病棟のトイレでパジャマを脱ぎ、
普段着姿になり、ゆっくりと外に出ればいい。

DVDを観ながら、
そんなことを大真面目に考えたりする。
やはり、ぼくはどこか病んでいるらしい。
脱出は諦めて、治療に専念するとしよう。

すんごい昔、刑務所の慰問に出かけたことがある。
当たり前だが、大勢の観客はすべて囚人。

そんな観客の前で演じたのが、脱出マジック。

手首に手錠をかけ、小さな木箱に閉じ込められる。
そこから、一瞬のうちに脱出に成功。
手錠はすでに手首から外れている。

観客は大歓声、大拍手。
もう、総立ち、というのはウソ。
観客は立ち上がることを許されていなかったが、
もう、立ち上がらんばかりに大興奮なのであった。

脱出マジックであんなにウケたのは、あの日だけ。
それが、ちょっと悲しい。

大好評だったのに、
その後、刑務所の慰問に呼ばれることは
二度となかった。
やれやれ、へへへ。

 


明るく軽く親切なのに。
ほんの少し悲しみの味がするのだ。
マジックというのが、もともとそういう
素性のものなのだろうか。ー

糸井重里(帯コピーより)

「神様の愛したマジシャン」
著者:小石至誠
発行:徳間書店
ISBN-13: 978-4198625429
【Amazon.co.jpはこちら】


<DVDの紹介>


『ナポリニコフの魔術学校
(カードマジック編)』

*前田知洋さんがゲストです!


<単行本の紹介>


「ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と」

関連コンテンツ

今日のおすすめコンテンツ

「ほぼ日刊イトイ新聞」をフォローする