ライフ・イズ・マジック

人生はマジックだ、なんて言い方そのものが怪しいでしょ。
ひょっとしたら、マジックってのは、
宗教の種かもしれないし、驚きの商品化かもしれないし、
人類最古の情報産業だったりもして。

軽い笑いもとれるし、ちょっと好かれたり嫌われたり、
ひとつの国をまるごとだまし取るようなこともできる。
いま、マジックを考えたり感じたりするのは、
なんだかとても大事な気がするんですよ。

おおげさな紹介はよしましょう。
マジック・ナポレオンズのパルト小石さんです。どうぞ!

ナポレオンズのHPは
http://www.tvland.co.jp/napoleons/
e-mail:napoleons@tvland.co.jp

新・ナポレオンズ小石の無菌室日記6

『続・我が愛しの高級スーツ』

「お客様、サイズを伺っても
 よろしいでしょうか?」

そう訊かれて、
「サイズはMです」
なんて答えてはいけない。

高級スーツのサイズは
S・M・Lじゃなかったりするのだ。

ゆえに、

「そうねぇ、でも、
 ブランドによって違うしねぇ」
などと適当にゴマかす。

「では、2、3着、お持ちしてみますね。
 お好みのお色は?」

「さぁ、何色が似合うかなぁ。
 最近、歳のせいか、
 これまでの色が似合わなくなってきてね」

などと、余裕の笑みを見せる。

「こちらなど、いかがでしょう?」

オススメのスーツに袖を通すと、
自然と背筋が伸びるような気がする。

くぅぅぅぅ、この風合い。

高級スーツの持つ魔力で、
たちまち私をイタリアン紳士に
変身させてくれそうではないか。

「こちらに、鏡がございます」

しかし、現実は常に厳しい。

鏡に映っているのは、おじさん。
高級スーツに着られている、おじさん。
あまりの似合わなさに落胆する、おじさん。

再び、高級スーツの声が聞こえてくる。

「早く脱ぐのだ。
 お前に、人生を安易に生きてきた者に
 似合うはずなどないのだぁ!」

私は周章狼狽、
急ぎ鏡に背を向けてスーツを脱ぐ。

「残念だが君はまだまだ若い、
 そういうことにしておこう。
 もうすこし人生を重ねて、
 またいつか試してくれたまえ、
 はっはっは」

ブルネ○・クチネ○の声に見送られながら、
肩を落として売り場を去る私であった。

でも、いいのさ。
世界が再び平和になったらもう一度、
いや何度でも、
あの高級スーツに袖を通してみるのだ。

「ほほう、君も少しは
 私が似合う人物になったじゃないか」

ブルネ○・クチネ○にそう言われる日まで、
諦めずに冷やかしを続けるとしよう。

 


明るく軽く親切なのに。
ほんの少し悲しみの味がするのだ。
マジックというのが、もともとそういう
素性のものなのだろうか。ー
糸井重里(帯コピーより)

「神様の愛したマジシャン」
著者:小石至誠
価格:1,365 円(税込)
発行:徳間書店
ISBN-13: 978-4198625429
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「ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と」

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