ライフ・イズ・マジック

人生はマジックだ、なんて言い方そのものが怪しいでしょ。
ひょっとしたら、マジックってのは、
宗教の種かもしれないし、驚きの商品化かもしれないし、
人類最古の情報産業だったりもして。

軽い笑いもとれるし、ちょっと好かれたり嫌われたり、
ひとつの国をまるごとだまし取るようなこともできる。
いま、マジックを考えたり感じたりするのは、
なんだかとても大事な気がするんですよ。

おおげさな紹介はよしましょう。
マジック・ナポレオンズのパルト小石さんです。どうぞ!

ナポレオンズのHPは
http://www.tvland.co.jp/napoleons/
e-mail:napoleons@tvland.co.jp

ナポレオンズ・小石の無菌室便り3

無菌室での抗がん剤治療が一段落し、
治療効果が認められると、
1泊2日の帰宅が許される。

「入院治療が長く続くと、
 身体は回復するのですが、
 どうしても気持ちの問題、
 気力が衰えてしまうんですね。

 それでリフレッシュ、
 たった1泊でも自宅に帰ると
 治そうとする気力が回復しますので」

そんなもんかなぁといぶかりつつ帰宅してみれば、
確かにリフレッシュ!

やはり、いつものテーブルで食べ、
いつものソファーでゴロゴロするのは良いもんだ。

それに主治医の先生のありがたいお言葉、
「ワインですか?
 まぁグラス2、3杯くらいなら」

家にある1番大きなグラスに赤ワインを注ぎ、
ゆっくり、ゆっくり。

臆病な性格なので、2杯くらいで止めておく。
というか、久しぶりなので
それで充分に気持ちが緩んでいく。

翌日は午後8時までに病院に戻ればいいので、
近所の美味しい店を巡る。

「なま物、なま焼きの肉とかは
 避けていただきたいのですが、
 納豆とかチーズとかは
 食べてもらっても大丈夫です。

 というか、大丈夫にしてから
 外泊帰宅してもらうようにしてますので」

私は安心して美味しいものを好きなだけ味わう。

そうしてふと思う。

病気になったことは悔しいけれど、
元気な頃は
ごく普通の暮らしのありがたみを
感じることなんてなかった。
 
むしろ、当たり前過ぎて
ただ怠惰に過ごしていたように思う。

普通の生活って、すごく幸せなことだと
病に伏して初めて知る。
あぁ、愚か者。

近所の店に行き、いつもの大好物を注文する。
おじさんはいたずらっ子の顔をして、
「おや、久しぶりだねぇ。
 やっと仮出所してきたのかい?」

               (つづく)




明るく軽く親切なのに。
 ほんの少し悲しみの味がするのだ。
 マジックというのが、もともとそういう
 素性のものなのだろうか。ー
        糸井重里(帯コピーより)

「神様の愛したマジシャン」
著者:小石至誠
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