ライフ・イズ・マジック

人生はマジックだ、なんて言い方そのものが怪しいでしょ。
ひょっとしたら、マジックってのは、
宗教の種かもしれないし、驚きの商品化かもしれないし、
人類最古の情報産業だったりもして。

軽い笑いもとれるし、ちょっと好かれたり嫌われたり、
ひとつの国をまるごとだまし取るようなこともできる。
いま、マジックを考えたり感じたりするのは、
なんだかとても大事な気がするんですよ。

おおげさな紹介はよしましょう。
マジック・ナポレオンズのパルト小石さんです。どうぞ!

ナポレオンズのHPは
http://www.tvland.co.jp/napoleons/
e-mail:napoleons@tvland.co.jp

世の中はミス・ディレクションに
満ちている!?

このところの数日、
前のジッパーを閉め忘れていることあり。
私の中の何かが壊れ始めているのだろうか。

それはさておき、マジック用語に
『ミス・ディレクション』というのがある。

『誤誘導』とも訳される、
マジシャンの秘密の動作。

マジシャンが、左手を上げて
空中から何かを取り出す仕草をしている。

その動きを見せながら、ダラリと下げた右手で
そっとマジックのタネを掴むのである。

この際の左手の働きを
『ミス・ディレクション』と言う。

つまり、観客の視線を
誤った方向の左手にのみ誘導する、
マジシャンの定番のテクニックなのだ。

先日、どうにもお腹の調子が良くない。
胃腸薬を飲んでみたが、一向に良くならず、
そのまま仕事に出かけた。

3、4日、仕事場でも胃腸薬を飲み、
回復を図ったのだが、まるで薬の効果なし。

こういう時、相方やアシスタントが
無駄に元気なのが無性に腹立たしい。

大型客船で供される豪華ディナーを貪るように食べ、
ワインをガバガバ飲んでいる。

私は相変わらずお腹の調子がイマイチ、
小さなパスタやリゾットをいただくのが精一杯。

そのうち、なんだか咳が出たり熱っぽかったりの
風邪の症状が出てきた。

それでやっと気付いたのである。
このお腹の不調が風邪菌の仕業であることに。
急ぎ風邪薬を飲むと、胃腸はたちまち回復し始めた。

なんのことはない、風邪菌による
『ミス・ディレクション』にまんまとダマされ、
胃腸薬だけを飲み続けていたのである。

その間、風邪菌はせっせと菌を増殖し放題だったのだ。
風邪菌よ、あんたも立派なマジシャンだよ。

ところで、2日目のショーの際も、
私は前のジッパーを開けっ放しで
ステージに立ってしまった。

お陰様で、それが強烈なミスディレクションになり、
私のマジックは珍しく大成功だった。
結果よければすべて良し、まぁいいか。




明るく軽く親切なのに。
 ほんの少し悲しみの味がするのだ。
 マジックというのが、もともとそういう
 素性のものなのだろうか。ー
        糸井重里(帯コピーより)

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