ライフ・イズ・マジック

人生はマジックだ、なんて言い方そのものが怪しいでしょ。
ひょっとしたら、マジックってのは、
宗教の種かもしれないし、驚きの商品化かもしれないし、
人類最古の情報産業だったりもして。

軽い笑いもとれるし、ちょっと好かれたり嫌われたり、
ひとつの国をまるごとだまし取るようなこともできる。
いま、マジックを考えたり感じたりするのは、
なんだかとても大事な気がするんですよ。

おおげさな紹介はよしましょう。
マジック・ナポレオンズのパルト小石さんです。どうぞ!

ナポレオンズのHPは
http://www.tvland.co.jp/napoleons/
e-mail:napoleons@tvland.co.jp

北へ、北へ、北へ

北に向かうにつれ、空が明るくなる。
東京が曇りや雨続きなので、
車窓の青空が懐かしくさえ思えてくる。

仕事先のホテルに着いてお昼の弁当を食べ、
照明、音響のチェック。
いつものルーティン。

ステージでは、ステッキ、
五輪のリング・マジックなどを披露。

まぁまぁの反響に、
「あの、ところで、皆さん、驚いてます?」
と、真顔で尋ねてしまう。

それが面白かったのか、大爆笑をゲット。

マジックの仕事って、
何年やっても分からないことだらけ。
だから面白いのだろうけれど。

翌日、再び北へ向かう。

控え室に、中学生男子と父親が訪ねてきた。
「息子がプロ・マジシャンになりたいと
 言ってまして」

相方が説く。
「プロにとって大事なことは、
 ズボンのジッパーが必ず閉まっていること」

確かに、いくら不思議なマジックを演じても、
ズボンの前が開いてるんじゃぁ台無しだもんね。

私は特に発言せず、ただ心の中で、
「手ぶらで訪ねてくるのは、ダメだよなぁ」

いやいや、地元の名産品とかが欲しいわけじゃなくて、
そういう気遣いが必要だと思うのさ。

昔の師匠がよく言っていた。

「弟子入りを断ろうと思うんだけど、
 わざわざお米やら好きな酒やらを持ってきてくれると、
 断れなくなるんだよなぁ」

だから、あの師匠の弟子は
酒どころの出身ばかりだった。

またまた、北へ向かう。
今度は片道4時間の新幹線旅。

トリの師匠の、
「落語ってぇもんは、飛行機に乗って行ってまで
 聴かせるもんじゃぁねぇんだよ」

「ちょいと電車に乗って、
 ふらっと寄席に入って、そういうもんなんだよ」

そんな師匠のご意見に従い、
全員、新幹線で行くことになったらしい。

我々の出番は30分程度。
ホール寄席はあっさりと終了し、
再び全員で新幹線4時間旅。

今回の仕事は、どうやら往復8時間の新幹線旅が
メインだったようで。

東京駅に戻り、トリの師匠、
「See You Again 」
なぜか英語で、いつもの照れ笑いを浮かべて
去って行った。




明るく軽く親切なのに。
 ほんの少し悲しみの味がするのだ。
 マジックというのが、もともとそういう
 素性のものなのだろうか。ー
        糸井重里(帯コピーより)

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