ライフ・イズ・マジック

人生はマジックだ、なんて言い方そのものが怪しいでしょ。
ひょっとしたら、マジックってのは、
宗教の種かもしれないし、驚きの商品化かもしれないし、
人類最古の情報産業だったりもして。

軽い笑いもとれるし、ちょっと好かれたり嫌われたり、
ひとつの国をまるごとだまし取るようなこともできる。
いま、マジックを考えたり感じたりするのは、
なんだかとても大事な気がするんですよ。

おおげさな紹介はよしましょう。
マジック・ナポレオンズのパルト小石さんです。どうぞ!

ナポレオンズのHPは
http://www.tvland.co.jp/napoleons/
e-mail:napoleons@tvland.co.jp

令和初の難事件!?

飲食店の店主に聞いた、不思議なお話。

ある日、切手を貼ってない、
奇妙なハガキが店に届いた。

文面は、
『あなたは、客に毒を食べさせています。
 やめなければいけません』

ひどい内容ではないか。
毒どころか、体にいいものを食べてもらおうと
日々努めているというのに。

文面も気になるが、
不思議なのは切手が貼ってないのに、
ちゃんと店にハガキが届いたこと。

店主が説明してくれた。
「宛先は近所の某団体の名前、住所で、
 投函者は私の名前と店の住所になっているんですよ」

つまり、ハガキは宛先に届いたんじゃなくて、
切手を張らずに投函したと思われた
飲食店の住所に戻ってきたのだ。

私は大いに感心してしまった。

そうか、宛先の住所と投函者の住所を逆に書き、
切手を貼らずに投函すれば、
ハガキは届けたいところに戻ることになるのだ。

私の父は定年まで郵便局に勤めていた。
私は父の郵便局勤めで得たお金で
育ててもらったと思っている。

それで、なんだか郵便局は
いつもありがたい存在に感じてしまう。

ゆえに、切手を貼らずに投函するなんて、
今まで1度もない。

いや、貼り忘れて投函したことが1度だけあったが、
注意書きが貼られて戻ってきたので、
あらためて切手を貼って投函したことはあるのだが。

それはともかく、更に不思議なのは
誰が何のためにインチキな投函をしたのか、
それが分からない。

当然、店主は宛先に書かれた某団体を
疑ったのだが、近所の人に聞いても、
「いやぁ、そんなことをする団体では
 ないと思いますよ」

近所の評判はとても良く、
某団体は犯人ではないと結論付けるしかない状況。

飲食店を中傷しているように見せかけて、
実は某団体の評判をおとしめるためのハガキ作戦、
ということだろうか。

以前、
『貴方は料金未納なので電話してください』
などという、典型的な詐欺のハガキが
届いたことがあった。

そんな詐欺のハガキにさえ、
切手はちゃんと貼ってあったというのに。

「小石さんはマジシャンだから、
 このインチキハガキの手口なんて
 簡単に見破れますよね」

いやいや、マジシャンは詐欺師じゃないし。

結局、このあやしいハガキ事件は未解決のまま。
ハガキは今も、店のキッチンの壁に揺れ続けている。




明るく軽く親切なのに。
 ほんの少し悲しみの味がするのだ。
 マジックというのが、もともとそういう
 素性のものなのだろうか。ー
        糸井重里(帯コピーより)

「神様の愛したマジシャン」
著者:小石至誠
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発行:徳間書店
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 種ありの人生と、種なしの人生と」

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