ライフ・イズ・マジック

人生はマジックだ、なんて言い方そのものが怪しいでしょ。
ひょっとしたら、マジックってのは、
宗教の種かもしれないし、驚きの商品化かもしれないし、
人類最古の情報産業だったりもして。

軽い笑いもとれるし、ちょっと好かれたり嫌われたり、
ひとつの国をまるごとだまし取るようなこともできる。
いま、マジックを考えたり感じたりするのは、
なんだかとても大事な気がするんですよ。

おおげさな紹介はよしましょう。
マジック・ナポレオンズのパルト小石さんです。どうぞ!

ナポレオンズのHPは
http://www.tvland.co.jp/napoleons/
e-mail:napoleons@tvland.co.jp

闇夜にまぎれて

めでたい仕事の依頼があった。
披露宴の二次会で、
マジックをしてほしいとのこと。

もちろん、ふたつ返事でOK。

つい先日の仕事先は、
とある地方都市の葬祭場であった。

「周辺の皆さんをご招待いたしまして、
 当斎場の存在を身近に感じていただければと‥‥」

お客さんは子供連れのファミリーだし、
ここが斎場だということをすっかり忘れ、
妙にハイテンションで演じてしまった。

ただ、その後に出てきた司会者が斎場の方で、
「ただいまは、ナポレオンズ様でございました」
と、重く厳粛な声。

まるで、
「それでは、ご親戚の方からご順に‥‥」
などと続きそうなのであった。

しかし、今回の仕事先は
ホテルの高層階にあるレストラン。
めでたさ100%のパーティである。

当日の午後4時、高層階のレストランに到着。
マジックをする場所を入念にチェック。

会場に吊られた白い風船に、
陽射しがまぶしく輝いていて、なんだかめでたい。
お祝いマジックを披露するにはピッタリの状況。

ただ、相方だけは浮かない顔をしている。

「お客さんが目の前だし、ネタの仕込みが難しい。
 ネタバレするかもなぁ」

私はすぐさま、

「いいじゃん、
 後ろ向いてゴソゴソ仕込んでもOKだし、
 その方がウケるよ」

だが、相方の顔は晴れない。

マジック関係者に、

「後ろ向いてネタ仕込むなんて、マジシャン失格。
 ネタバレは、マジシャンの恥」

とでも言われたのだろうか。

控え室で待機していると、

「出演時間が大幅に遅れそうでして。
 夜8時を過ぎそうです」

延々と待ち、やっと出番がきて会場へ。
外はすっかり夜景、レストランの照明はほの暗く、
客の顔さえよく見えない。

前から小さな照明がステージに当たっているが、
それ以外は真っ暗な状態。
タネどころか、マジックさえ良く見えないかも。

相方は急に明るい笑顔になって、
意気揚々と前に歩き出した。

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