ライフ・イズ・マジック

人生はマジックだ、なんて言い方そのものが怪しいでしょ。
ひょっとしたら、マジックってのは、
宗教の種かもしれないし、驚きの商品化かもしれないし、
人類最古の情報産業だったりもして。

軽い笑いもとれるし、ちょっと好かれたり嫌われたり、
ひとつの国をまるごとだまし取るようなこともできる。
いま、マジックを考えたり感じたりするのは、
なんだかとても大事な気がするんですよ。

おおげさな紹介はよしましょう。
マジック・ナポレオンズのパルト小石さんです。どうぞ!

ナポレオンズのHPは
http://www.tvland.co.jp/napoleons/
e-mail:napoleons@tvland.co.jp

耳に安全ピン

いつも、耳にピアスをしている。

ずいぶん前に、渋谷の病院で初めて、
耳に穴を開けたのだった。

自分で開けるという人も多いが、
僕のような痛がり、こわがりには無理だから、
専門の病院を選んだのだ。

病院に入ると、まるで女子高校に迷い込んだよう。
「キャー、いやダァ、信じらんない、ウッソー」
などの大合唱、大行列。

そんな喧騒の中で、おじさんひとりド緊張。
なんせこわくてたまらない。
どうやって穴を開けるのか、どれくらい痛いのか。

まさか、目の前の女子高生に聞くわけにもいかない。

しばし待ち、いよいよ穴を開ける瞬間が。
穴を開ける人もまだ高校生のような若い女性で、
大きなステイプラーのような機械を手にしている。

「そいでさぁ、◯◯がさぁ‥‥」
隣の同僚(やはり若い女性)とおしゃべりに夢中に
なりつつ、僕の耳に機械を当てるではないか。

「おいおい、もっと手元に、おいらの耳元に集中
 してくれよ」

そんな僕の心の願いも空しく、耳にガチャンという
ノイズ。

「あれっ、もう済んだんですかぁ?」
そう尋ねようと思ったのだが、
「そいでね、あいつったら、あーだこーだ‥‥」

ペチャクチャは止まらない。

しかし、そのおしゃべりが気になった結果、
ちっとも穴開けの痛みを感じずに済んだのだった。

なるほど、ピアスの穴開けって
よく考えられているなぁと、大いに感心したのであった。
でも、そんなわけはないか。

最近は、デパートで買った
安全ピンの形をした金のピアスをつけている。
たしか24金で、7千円くらいだったか。

鈍く光る金の小さな安全ピンが耳たぶに揺れている。
似合うか似合わないかなんて、気にしない。
もう、自己満足の世界なのでありますよ。

先日、知人女性が、
「小石さん、それって安全ピン?
 へぇ、いいですねぇ、そのアイデア、面白い〜」

どうやら、普通の安全ピンを
耳につけていると思っているらしい。
おいおい。




明るく軽く親切なのに。
 ほんの少し悲しみの味がするのだ。
 マジックというのが、もともとそういう
 素性のものなのだろうか。ー
        糸井重里(帯コピーより)

「神様の愛したマジシャン」
著者:小石至誠
価格:1,365 円(税込)
発行:徳間書店
ISBN-13: 978-4198625429
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