ビクビク、暮らしている
2019-03-03
マジシャンになる前は、セールスマンをしていた。
朝、会社に行き、朝礼をすませると外回り。
あちこちの家々を回ってドアをノックしたり、
チャイムをピンポンしたり。
無視されたり怒られたり、
そんなセールスの仕事の大変さは少し、知ってるつもり。
ところが、それ以外の仕事となると、
どんな仕事も大変だろうなぁとは思うものの、
イマイチ実感できない。
マジシャンの大変さはまぁまぁ、知っているつもり。
まずは、新ネタを考えるのが大変。
朝から晩まで、ずっと新ネタを考えようとしても、
まるで出てこない。
毎日がその日暮らしのようなもので、
収入がとっても不安定。
なんの保証もない。
でも、マジシャンの大変さなんて
一般に伝わりようもないし。
伝わっても困るし。
以前、大量の宝石を出現させるマジシャンがいた。
もちろん、宝石は全部ニセモノ。
ガラスだったり、プラスチックだったり。
このマジシャンの大変さは、
簡単に人に伝わってしまったみたいだ。
マジシャンがひとつも
本物の宝石を身に付けていなかったから。
本当はひとつでも、
目立つところに付けてれば良かったのに。
夢を見せるはずのマジシャンの人生の切なさ、
哀しさを観客に感じさせないで済んだのに。
さて、我が拙文を担当されている方の大変さが
分からない。
それが最大の問題。
おいらは原稿をメールに添付、送信しておしまい。
担当の方は、その後どんな作業を重ねるのか、
どれほどの手間がかかるのか、想像すらできない。
だから、原稿を送信後、
「もう、こんな原稿、
どれだけ更新するのが大変か、
わかってるのかねぇ、まったく」
などとぼやかれているんじゃぁないかと、
そのうち苦情の電話が鳴るんじゃぁないかと、
いつもビクビクしている。
文章を書くというのも、なかなかに大変。
でも、めちゃ楽しくもあるから、
やめられないんだよね、これが。

