ナポレオンズ・小石の新春日記
2019-01-13
年が明けた。
晴天のせいか、なんだか良い年明けのように思える。
めでたし、めでたし。
だが、正月なのに労働にいそしまなければならない
我が身を、ついつい憂う。
「マジシャンなんて、ならなけりゃぁ良かった。
みんな正月休みを楽しんでるのに、
働かなきゃならないなんて」
などと、ぼやいてみるが、
仕事場に着けばみんな働いている。
しかも、みんなニコニコ顔。
「すみませんでした」
皆さんの笑顔を見て、新年初のひとり反省会。
2日、電車を乗り継いで寄席に向かう。
思ったより若いお客さんが多い。
着物とかで着飾っているわけではないけれど、
やはり華やいだ客席。
ハンカチから鳩が出現するマジックから始める。
鳩は本物ではなく、ゴム製。
「このマジック、
2019年には見られなくなる
マジックです。
4K、8Kのテレビでは、
これがゴムのハトだと
バレてしまいます」
続いて、中学生くらいの女の子を高座に上げる。
「これからご覧いただくのは
『美女のブスブス』というマジック。
『ブスブス』という言葉が
コンプライアンスに抵触する恐れがあり、
やはり2019年には見られなくなるマジック」
最後に、
「4K、8K時代、
コンプライアンスの時代の
2019年にも大丈夫なネタは、これです」
頭だけが360度、
ぐるぐる回ってしまうマジックをご覧いただき、
出番終了。
やれやれ、高座は大いに盛り上がり。
3日、国立演芸場に向かう。
前日ウケたネタでよかろうと高座に立つも、
どうも思ったようなリアクションが
わき起こらない。
2回目だから慣れているはずなのに、
なぜか調子が狂う。
ついつい気が抜けているのかなぁと、
新年2回目のひとり反省会。
4日、北陸新幹線で新年初の遠出。
トリの師匠の名前を冠したラーメンを土産にいただく。
その名も『腹黒拉麺・ブラック醤油味』。
その味苦いか美味しいか。
帰りの東京駅、
エスカレーターですれ違う若い女性の目から
涙が零れ落ちるのを見てしまった。
年明け早々、彼女に何が起きたのだろう。
でも、まだ新年は始まったばかり、
そのうち彼女にも楽しい日々が訪れるだろう。
そうそう、きっとそうだよ。