ライフ・イズ・マジック

人生はマジックだ、なんて言い方そのものが怪しいでしょ。
ひょっとしたら、マジックってのは、
宗教の種かもしれないし、驚きの商品化かもしれないし、
人類最古の情報産業だったりもして。

軽い笑いもとれるし、ちょっと好かれたり嫌われたり、
ひとつの国をまるごとだまし取るようなこともできる。
いま、マジックを考えたり感じたりするのは、
なんだかとても大事な気がするんですよ。

おおげさな紹介はよしましょう。
マジック・ナポレオンズのパルト小石さんです。どうぞ!

ナポレオンズのHPは
http://www.tvland.co.jp/napoleons/
e-mail:napoleons@tvland.co.jp

私が選ぶ。すごいマジシャン

「マジシャンが選ぶ、すごいマジシャンとは?」
そんな問い合わせが某局からあった。

私はすぐさま熱く語り始める。

「そりゃぁ、S田晴夫さんでしょう。
 なんせS田さんはマジックの殿堂、
 マジック・キャッスルに
 初めて出演を果たしたんですから」

「マジック・キャッスルは
 アメリカのロサンゼルスにある会員制のクラブ。
 当時は白人専用で、
 有色人種は出演できなかったのですよ」

「その壁を、S田さんは軽く超えて出演し、
 独特なマジックで観客を魅了しちゃったんですよ」

黒人マジシャンが言う。
「Mr.S、彼は我々のヒーロー。
 彼がいなかったら、我々、黒人マジシャンも
 マジック・キャッスルのステージに
 立てなかっただろう」

「いやぁ、私はめちゃ感動しましたよ。
 そんな事実をまるで知らず、
 S田さんは単なる先輩マジシャンくらいにしか
 思ってなかったんですから」

「ずいぶん後になって、そのことをS田さんに話したら、
 S田さん、『そうだっけ?』。
 まるで自分の偉大な業績に気づいてないのですよ」

そうなのだ、そういうものなのだ。
すごいマジシャンて、自分のしてきたことを
ごく普通のこととしか記憶していないのだ。

私も、自分の偉大な業績をまったく記憶していない。
偉大な業績がないだけかもしれないが。

「オープン、セサミ〜! 開け!ゴマ」

すごいマジシャンが前に立つだけで、
どんなに堅固な扉であろうとも勝手に開いてしまうらしい。

すごいなぁS田晴夫さん。

後に、ラスベガスで
ロング・ラン公演を果たしたとも聞く。

「今もアメリカのどこかに住んでいて、
 請われれば若手マジシャンに
 指導をしているみたいですよ。
 すごいレジェンド・マジシャンですよ」

私の熱弁を静かに聴き続けていたディレクターさんが
小さな声で、

「あの、日本に住んでいるマジシャン限定でお願いします」

私は、あるCMのセリフを思い出していた。

「それ、早く言ってよぉぉぉ」

関連コンテンツ

今日のおすすめコンテンツ

「ほぼ日刊イトイ新聞」をフォローする