ライフ・イズ・マジック

人生はマジックだ、なんて言い方そのものが怪しいでしょ。
ひょっとしたら、マジックってのは、
宗教の種かもしれないし、驚きの商品化かもしれないし、
人類最古の情報産業だったりもして。

軽い笑いもとれるし、ちょっと好かれたり嫌われたり、
ひとつの国をまるごとだまし取るようなこともできる。
いま、マジックを考えたり感じたりするのは、
なんだかとても大事な気がするんですよ。

おおげさな紹介はよしましょう。
マジック・ナポレオンズのパルト小石さんです。どうぞ!

ナポレオンズのHPは
http://www.tvland.co.jp/napoleons/
e-mail:napoleons@tvland.co.jp

白か黒か

髪を染めるのをやめた。

染めると頭皮が荒れるようになったのがキッカケ。
それで一切、染めるのをやめた。

でも、それ以前から染めるのがイヤだった。
なんだか、ウソっぽくて。

「タネ、トリック、一切ありません」
マジシャンだから、
ステージでウソばかりついている。

もちろん、人をダマすために
ウソをついているのではない。

あくまで、マジックを楽しくするための
ウソなのだが。

それでも、ねぇ。

子どもの頃、
「ウソつきは泥棒のはじまりですよっ」
なんて教えられたのが
脳みそにしみ込んでいるからだろうか。

髪を染めること=ウソ、
じゃないのは分かっている。

分かっちゃいるけど、
髪が不自然に黒いおじさんの言うことを、
ついつい疑ってしまう。

私は思い込みが激しいのかもしれない。

大人になった、おじさんになった。
それなのに、髪は真っ黒。

私は単純に考えてしまう。
なんか、変。

テレビに映る政治家の皆さんの髪の黒さにも
違和感を感じてしまう。
余計なお世話だけれど。

「白髪だと老けてみえるから」

という気持ちはよく分かる。

私は芸人だから、

「小石さん、イメージが変わっちゃうのは、
 やっぱよくないですよ」

なんて言われたりする。

でもね、髪が白くなると芸が面白くなくなる、
なんてことはないよね。

フーテンの寅さんが嘆いてる。
「目方で男が決まるなら、こんな苦労もあるまいに」

髪の黒さで芸が決まるなら、
こんな苦労はありゃしない。

あれこれ悩んでいると、久々にあった青年、

「小石さん、いいっすねぇ、その(髪の)色。
 染めたんすかぁ」

いやいや、染めなくなったんだよ。
でも、ありがとう。
もう、悩むのもやめるよ。

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