ライフ・イズ・マジック

人生はマジックだ、なんて言い方そのものが怪しいでしょ。
ひょっとしたら、マジックってのは、
宗教の種かもしれないし、驚きの商品化かもしれないし、
人類最古の情報産業だったりもして。

軽い笑いもとれるし、ちょっと好かれたり嫌われたり、
ひとつの国をまるごとだまし取るようなこともできる。
いま、マジックを考えたり感じたりするのは、
なんだかとても大事な気がするんですよ。

おおげさな紹介はよしましょう。
マジック・ナポレオンズのパルト小石さんです。どうぞ!

ナポレオンズのHPは
http://www.tvland.co.jp/napoleons/
e-mail:napoleons@tvland.co.jp

ふしぎな、いきもの

自然豊かな土地に住み、有機野菜を使った料理を
ご馳走してくれる友人がいる。

「外食だと、何が使われてるか
 わかんないですよね。
 なんだかこわくて、自炊がいちばんかなぁと」

そう言いながら、食前食後に何度も喫煙する友人。

わからない、わからない。
でも、それが人間という、ふしぎな、いきもの。

歌うのが好きな人がいる。
特別、歌が上手というわけでもない。
でも、人前でたっぷりと歌いたい。

歌のレッスンまで受けている。
歌の先生が、
「良くなりましたよ。
 あとは音程だけですよ、はっはっは」

歌の先生の強烈な皮肉も、
彼には励ましの言葉にしか聞こえない。
何かを好きになるって、そういうことかも。

そう、それが人間という、ふしぎな、いきもの。

風邪気味なので、お医者さんへ。
「今日は、お酒をひかえてください」
「はい、わかりました」

午前0時を過ぎて、私はワインをグラスに注ぐ。

「だって、先生は『今日はダメ』と言ったんだよ。
 もう明日になったから、OKさ」

おかしいよね、変だよね。
でもね、私も人間、ふしぎな、いきもの。

落語にも、酒好きな人が登場する。
熊さんは風邪気味なので医者に行った。

「まぁ1杯くらいはよかろう」
そう言われ、念のため別のお医者さんに行くと、
「そうじゃなぁ、まぁ1杯くらいは」

念のため、もう1軒お医者さんを訪ね、
「1杯くらいは、よかろう」

熊さんは3人のお医者さんの意見を聞いて、
家で3杯飲んだとさ。

そんなバカな、そんなバカな。
でもね、それが人間という、ふしぎな、いきもの。

芸に厳しいマジックの先生がいた。
ハンカチからハトが出現するマジックを教わった。

「小石くん、何回練習してもうまくならないねぇ。
 むしろ、ハトの方がうまくなってる(笑)」

よく怒られたもんだ。

先生はあきらめず指導を続けてくれたのに、
私はさっさとおしゃべりマジックに転向してしまった。

「ふしぎなもんだよねぇ。
 優秀だった生徒さんは一人もプロにならず、
 ダメダメ生徒だった小石くんが今もプロでやってる」

本当に、それが人間という、ふしぎな、いきもの。




明るく軽く親切なのに。
 ほんの少し悲しみの味がするのだ。
 マジックというのが、もともとそういう
 素性のものなのだろうか。ー
        糸井重里(帯コピーより)

「神様の愛したマジシャン」
著者:小石至誠
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