2009.11.25
革とのつきあい方は、ごくシンプル。愛情をもってどんどん使う。(3/5)

[ 糸井 ]
そうですね。

[ 細井 ]
革という素材の持っているおおらかさと、 製品化するときの緻密さっていうのは、 実は違うものなんですよね。

[ 北川 ]
違いますねぇ。

[ 細井 ]
でも、それがクロスしたときに、 いいものができてくるというところは、 たぶんあるんだと思うんです。

一方で、アンリさんのカバーなんかは、 素材のよさ、革のおおらかさを全面にだしていて、 こういう緻密な作業とはクロスはしてこないんですね。
でも、これはこれで、味があって。

[ 黒澤 ]
味があっていいですよね。

[ 糸井 ]
同じ革小物といっても、 コンセプトが違うものですよね。

[ 北川 ]
ぼくなんかは、このピッグとアンリさんのカバー、 「あ、これいいな。でも、こっちも持ちたいな」って、 欲張りで、「両方欲しい」って、思ってしまいますね。

[ 細井 ]
違うものとしてたのしみたいんですよね。

[ 北川 ]
そう、異なるものとしてひかれますね。

革のお手入れ。
[ 糸井 ]
最後に、革の手入れについて、 少しお聞きしていきたいんですけど。
(笑)なんだか、困ってますね。

[ 細井 ]
お手入れですか‥‥。

[ 籠浦 ]
ぼくが最初に言ってしまうと、 みもふたもないかもしれないですけど、 ぼくは、手入れは一切しないです。

[ 北川 ]
しないね。

[ 細井 ]
しないです。

[ 黒澤 ]
しないですね。

[ 糸井 ]
はあぁー、全員ですか!

[ 籠浦 ]
ぼくの使ってるカバーなんかも、いま3年めですけど、 これ、手入れはいっさいしてないんですよ。
じぶんなりにていねいに使ってるとは思いますけどね。

[ 糸井 ]
なるほどねぇ。
じゃあ、手入れには「栄養を与える」的なものと、 「いじめる」的なものと、2種類あると思うんですが、 まず、「栄養を与える」的なものはやらなくていい、 みなさん、そう思ってるということですね?

[ 籠浦 ]
はい。

[ 細井 ]
まあ‥‥そうですね。

[ 糸井 ]
細井さん、なにか悩んでますね(笑)。

[ 細井 ]
あのう、結局、自己責任で使うもの、 じぶんの、この子に対しての使い方の結果でね。
いや、自己責任というとちょっと言葉が乱暴ですけど、 もう、自分ちの子になったからには、 どう育てようとあなた次第なんですよ、と思うんです。


[ 糸井 ]
あぁ、はい。

[ 細井 ]
ただ、そうだなあ‥‥、 たとえばボールペンでちょっと書いちゃって、 というんだったら、消しゴムで少し、 こしこしやるぐらいの努力をすると思うんですね。
それを、もう1色、たとえば、 上から染料かなんかで染めてしまうというようなことは 絶対にやらないほうがいいと思うんですよ。
やりがちではあるんですけれど。

[ 北川 ]
靴墨を塗ってしまうとかですね。

[ 細井 ]
そう。やっぱりありますよね。

[ 北川 ]
ぼくもそう、おっしゃる通りだと思うんですよ。
「あなた色に染めてください」じゃないけど(笑)、 あなたの使い方によって‥‥。

[ 糸井 ]
そういうことですね。

[ 北川 ]
それが天然の、革の特徴ですよ、っていう。

[ 糸井 ]
そうですか、みなさん、手入れはしない。
でも、そうすると、靴はどうして栄養を与えるんですか?

[ 細井 ]
靴は、下足だからでしょうね、きっと。

[ 糸井 ]
傷むということですか?

[ 細井 ]
多少なりとも、上塗りが必要なんだと思うんですけど。

[ 籠浦 ]
ぼくは靴も何もしないです。
ぼく、靴はすごい好きなんですけどね。

[ 糸井 ]
いや、すっごい人現れたなあ。

[ 一同 ]
(笑)

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