
2009.11.24
革についてもっと知りたい。糸井重里と革のプロたちの革座談会をお届けします。(2/4)
[ 籠浦 ]
はあー、そうですか。
[ 黒澤 ]
味わいがありますよねえ。
[ 細井 ]
抽選に当たった人はうれしいだろうなあ。
[ 糸井 ]
そう伝わるといいんですけどね。
[ 細井 ]
いや、伝わると思いますよ。
もしじぶんが当たったら‥‥どうするだろうなあ。
[ 糸井 ]
え?(笑) どうするの?
[ 細井 ]
あ、ちょっとなにか、使いはじめるまで
準備期間が必要なような気がして。
[ 籠浦 ]
いやいや、使っていかないと
よさがわからないから、ぜひ使わないと。
[ 北川 ]
そうそう。
使えば使うほど、艶が出て、
革の醍醐味が味わえますよ、これは。
[ 糸井 ]
これ、アンリさんのお店のバッグで、
もう4年ぐらい、ひっきりなしに使ってるんですけど、
こんなふうになるわけですよね、このカバーもね。
この財布もそう。

[ 黒澤 ]
ああ、すばらしいですね。
[ 細井 ]
いいですね。
バッグはこれ、革を伸ばしてないんだな。
[ 北川 ]
うん、いい革を、ありのままで使ってますよね。
[ 糸井 ]
財布なんかだと、使っているうちに、
こう、艶がでてきますよね。

[ 籠浦 ]
「経年変化」ってよく言いますけど、
ぼくはこういうのが、
ほんとの経年変化だと思うんですよね。
[ 細井 ]
そう。そうですね。
[ 籠浦 ]
どうも、色のことばかりが
注目されてる気がするんですけど、
こうやって、使ってて自分の形になってくるとか、
艶が出るとか、そういうのが
「経年変化」なんだと思うんです。
[ 糸井 ]
うわ、核心に入ってきましたね(笑)。
[ 籠浦 ]
わざと日に当てるとかね、
育てるって、そういうことじゃないと思うんですよ。
[ 細井 ]
そう、乾燥させることじゃないですよね。
[ 籠浦 ]
そうです、そうです。
[ 細井 ]
やっぱり手の脂で艶がでるとか、
ポケットに入ってるものの形が
浮き出してくるみたいなことで、
その人のものになっていくんだと思うんですよね。
[ 黒澤 ]
そう。そうなんですよ。

▲黒澤康二さん
[ 細井 ]
革というのは、本来、
使っているうちに、艶感が出てくるとか、
丸みが帯びてくるみたいなところとか、
ほかでは味わえない
革のよさというのが、間違いなくあるんです。
[ 糸井 ]
おそらく、革がいつのまにか
大量生産品のイメージで
見られるようになっていたんですね。
[ 北川 ]
そうですね、たしかにそうです。
[ 糸井 ]
間違いがない、丈夫な、っていう
「機能」で選ばれるものに、知らないうちになっていた。
だけど、一番最初の革のこころっていうのは、
きっとなにか違うところにあったはずだ、ってところから
さあ、今日の本題に入りましょうか。
革のベーシックな考え方を。
[ 糸井 ]
いま、情報がかんたんに手に入りますから、
革に関しても、先ほどおっしゃていたような、
日に当てる的な、こうすると、こういう味になるぞ、
というような話を、いっぱい耳にするんですね。
ぼくは、ジーパンが好きなもんですから、
革の、とくに「経年変化」について、
あれこれ言われているのを見ていると、
ジーパンの「経年変化」が一般化していったときと、
そうとう似てるな、と思うんです。
「生のジーパン」という言い方をあえてしますけど、
洗いざらしてないジーパンを買うほうが今じゃ少数派で、
履き古したような感じを最初から作ってしまうのが、
今、ジーパンという商品の当たり前の形になってますよね。

[ 細井 ]
そうですね。
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