2009.09.30
10月の新作プリントカバー「世界の伝統柄シリーズ」手塩にかけたカバーです。(2/3)

[ 日下部 ]
メキシコの街並みの写真を見ていると、 この色の組合わせが多いんです。
内側の色は、手帳を開くと ちょっと元気がでるような感じに なるといいなと思って(笑)、 全体的に明るい色を選んでます。

[ ーー ]
(笑)元気がでます。
全体的に、気持ちが浮きたつというか、 たのしいカバーになりました。

[ 日下部 ]
はじめは、いかにも伝統柄というようなものも いろいろ考えてみていたんですけと、 そうすると、民芸調になりすぎてしまって。

[ ーー ]
以前、卓さんにお話をうかがったときにも、 「伝統的な模様といったものに興味のない人でも、 ふつうに持てるようにチューニングしていくのが大切」
とおっしゃっていましたね。

[ 日下部 ]
常にそれを意識して考えていますね。
このパペルピカドというモチーフが見つかったことで、 北欧でもなにかこういったものはないかな、と 工芸品まわりを探してみたんです。

[ ーー ]
なるほど。
そうして、フィンランドの「ヒンメリ」に つながっていったんですね。


手仕事のぬくもりを感じる北欧のモビールから。
「ヒンメリ from FINLAND」

[ 日下部 ]
こちらも、最初はもっと北欧らしいデザインとか 範囲を広げて考えた時期もあるんですが ストーリー性のあるものがいいと佐藤も言っていて。
北欧の工芸品まわりを調べているうちに 「ヒンメリ」にたどりついたんです。

[ ーー ]
ヒンメリは、フィンランドの 伝統的なクリスマスの飾りだそうですね。
ライ麦の藁(わら)を糸でつなげて 作られていると聞きました。

[ 日下部 ]
直線をつなげてできる幾何学的な形が おもしろいですよね。
こちらは実物を手に入れることは できなかったんですが。
ーー いちど、ヒンメリの実物を見たことがあるんです。
桐島かれんさんのお店「House of Lotus」で クリスマスの時期に ディスプレイされていたものなんですが、 大きなヒンメリが天井から吊られていて。
カバーになるとは想像もしていなかったころですが すごく印象的でした。
かすかな風にゆっくりとまわって、 壁に映る影もきれいで。
もともとは新年の豊作を祈るというような 意味もあるとか。
風を感じるところは、ちょっと風鈴みたいですよね。



画像提供:おおくぼともこ 左は「House of Lotus」での展示風景(2008年12月)。
どちらもおおくぼともこさんの手作りのヒンメリ。
ヒンメリの作りかたを紹介したおおくぼさんの著書 『ヒンメリーフィンランドの伝統装飾』おおくぼさんのホームページでも販売中です。
[ ーー ]
そのヒンメリをイメージして パターンを起こしていただいたわけです。

[ 日下部 ]
そうですね。ふだん使いのカバーに ヒンメリの模様をおとしこむときに、 どういう模様がいいのかなと、 いろいろ試して検討しました。
どうパターン化するのか、 パーツのつなげ方とか、ですね。
ちょっと実際のヒンメリのつなげ方とは ちがっていると思うんですが(笑)。

[ ーー ]
これも手描きでドローイングしたものでしたね。

[ 日下部 ]
はい、模様の配列は パソコン上で試していたんですが、 データのままだとフラットになるというか 無機質な線になってしまうので、 もっとゆらぎを出すために 最後はペンで描いて、ムラを出したり、 あえてインクのたまりを作ったりしました。
そのペン描きしたものをスキャンして またパソコンで線の太さを調整して、 という作業を何度か繰り返してます。


[ ーー ]
生地へのプリントの段階でも いっしょにプリント工場に行っていただいて 濃淡の調整をしました。

[ 日下部 ]
雪の結晶を思わせるような繊細なイメージに なるといいなと思っていたんですが、 微妙な調子で印象が変わってくるんですね。
最終的には、プリントのムラもうまくいきて 奥行きがでたのも、よかったと思います。

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