2009.08.18
方眼のサイズ決定!佐藤卓さん×糸井重里ある日の対談。(2/4)

[ 糸井 ]
つまり、 「もっといっぱい書けるぞ」っていう喜びと、 「ほかのページもぴたっとおさまるぞ」
っていう機能面のバランスを突き詰めた結果、 3.45ミリの方眼にたどり着いたと。

[ 佐藤 ]
いってみれば、そういうことですね。

[ 糸井 ]
もう、それは、まちがってないというか、 大正解をありがとうございます、 という気持ちはいまももちろんあります。

[ 佐藤 ]
(笑)

[ 糸井 ]
で、先日の座談会に戻りたいんですが、 卓さんが最初におっしゃった理由、 「もっといっぱい書けるぞ」
っていうことへの喜びって‥‥。

[ 佐藤 ]
そう! 意外にないんですよ。
それはこのまえの座談会でよくわかりました。
「いっぱい書けるようになってうれしい」
っていう意見はないですね。

[ 糸井 ]
そうなんです。
もちろん、座談会で出た意見がすべてじゃなくて、 ぼくは「ほぼ日」に届く手帳への感想メールって ほとんどすべてに目を通してるんですけど、 たしかに見かけないんですよ、 「方眼が小さくなって  いっぱい書けるようになった」は。

[ 佐藤 ]
そうですね。
それは、やってみてわかったことです。
それに気づかせてくれたことだけでも あの座談会に参加してよかったと思いました。


[ 糸井 ]
その意味でいうと、 ぼくがあの座談会で得た大きな収穫は、 「手帳をつかっている人たちに  方眼の大きさを気にさせちゃダメだ」
ということです。

[ 佐藤 ]
あー、大きさがどうこうじゃなくて、 そこを意識させた時点でよくないと。

[ 糸井 ]
意識すればするほど、 「自分の文字にとって最適な方眼とは?」
みたいな話になっちゃうんです。
そんな、張り詰めた状況において、 全員の意見が一致することってないと思うんですよ。


[ 佐藤 ]
なるほど、なるほど。

[ 糸井 ]
そういう意味では、もし変えるんだったら、 「あ、気づきましたか」というような 気づく人は気づくみたいな 変えかたじゃないといけない気がするんです。
だから、結論のひとつとしていうと、 ガラっと4ミリに戻すつもりは まったくないんですね。

[ 佐藤 ]
うん、うん。

[ 糸井 ]
じゃあ、どうするのか?
「え? 変えたんですか? 気づきませんでした」
と言われるような大きさって、なんだろう。
そこをずっと考えていたんですが、 ぼくが「このくらいかな」って感じたのが、 「3.7ミリ」っていうサイズなんです。

[ 佐藤 ]
なるほど。微調整。

[ 糸井 ]
微調整です。
「じゃあ4ミリに戻します」っていうんじゃなく、 最適なサイズを目指して、 しつこく微調整していくことのほうが いいんじゃないかと思うんです。

[ 佐藤 ]
賛成です。
「安易に変えるつもりはない」というのも スタンスとしては一貫していて わかりやすいのかもしれませんけど、 そこから一歩進んで しつこく微調整していくのも‥‥。

[ 糸井 ]
うん。
この言い方は変かもしれませんが、 「かっこいい」んじゃないかな(笑)。

[ 佐藤 ]
うん、「かっこいい」です(笑)。
結論としては、ぼくも、 はっきりわからないレベルで 微調整するのがいいと思っていて。

[ 糸井 ]
うん。

[ 佐藤 ]
森正洋さんという 陶磁器デザイナーの方がおられて、 かつて「G型しょうゆさし」という 醤油さしをデザインされた方なんです。
いまではどこのお店にも置いてある、 醤油さしのスタンダードなんですが、 その「G型しょうゆさし」って、 開発するときにいろんな人に いろんなことを言われまくって できあがったものなんです。


G型しょうゆさし

[ 糸井 ]
ああ、あの醤油さしですね。
醤油さしって、 日本人のほぼ全員が手にするものですし、 いろいろ言いたくなる道具ですよね。
たしかに、あの「G型しょうゆさし」は 自分と他人、両方がつくってると思います。

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