
2009.08.18
方眼のサイズ決定!佐藤卓さん×糸井重里ある日の対談。(3/4)
[ 佐藤 ]
そうなんですよ。
だからこそ、あの醤油さしはすごい。
名作なんです。
[ 糸井 ]
ですよね。
きっと、製作途中の、試作品が、
何パターンもあるんでしょうね。
[ 佐藤 ]
そう思います。
多くの人の意見を聞いて、
それらがちょうど交差する点を
探していったものって
やっぱりものすごく残るものなんですよね。
●デザインとは世の中に隠れている
数式を発見すること。
[ 佐藤 ]
じゃあ、3.7ミリ版をつくってきましたので
見ていただきましょうか。
[ 糸井 ]
え? つくってきたんですか?
[ 佐藤 ]
じつは、方眼の大きさを微調整する前提で
ほぼ日の方とやり取りしていたら、
「糸井が『3.7ミリの方眼』を
候補にしているみたいです」ってうかがって、
ぼくの思う方向性とも一致していたので
つくってみたんです。

[ 糸井 ]
うわぁ、そうだったんですか。
(マジマジと眺めつつ‥‥‥‥)
卓さん、3.7ミリ、当たりかも。
[ 佐藤 ]
そうですか(笑)。
[ 糸井 ]
うん、これ「4ミリにしたよ」って言われると
「本当だ」って感じると思うんですよ。
で、「去年と同じだよ」って言われたら
「そうかな」くらいに言うと思うんですよ。
どっちの人も受け入れてくれる気がする。
[ 佐藤 ]
ああ、それって、おもしろいですよね。
[ 糸井 ]
気温とかに似てますね。
[ 佐藤 ]
気温?
[ 糸井 ]
寒いとか、暑いとか、
温度計で計れるように思うけど、
感覚ってそうじゃないじゃないですか。
たとえば、春に「暖かいね」っていうのと、
秋に「寒いね」っていうのを比べて
いったいどっちが暖かいのかっていったら、
温度計で答えが出るようなことじゃないですよね。
[ 佐藤 ]
ああ、なるほど。
[ 糸井 ]
ふたつの点と点を機械的に比べただけじゃ
答えが出ないものってたくさんあると思うんです。
[ 佐藤 ]
だからこそ、
プロセスが大事なのかもしれませんね。
実際につかってもらった人の意見を聞いて
その両端から中間へたどりつく。
そういったプロセスこそが
多くの人を満足させるものなのかもしれません。
それって、すごい論理だなぁ。
[ 糸井 ]
一回一回、真摯に結論を出してないと
成立しない方法論なんでしょうけどね。
だから、卓さんがこうして意見を吸い上げて
きちんと形にしてくださるからこそ、
みんなが納得できるんだろうと思うんです。
じゃないと、お客さんの声を
たんに機械的に扱ってるような
感じになっちゃいますから。

[ 佐藤 ]
いえいえ(笑)。
でも、今回はぼくも反省しました。
[ 糸井 ]
いや、こういう仕事のしかたって、
ぼくらも、何度やっても、
やっぱり発見の連続なんですよ。
毎年、ほぼ同じものをつくっていれば
安定してくるのかもしれませんけど、
それはおもしろくないし、
やっぱり少しでもよくしていきたいですし。
かといって、全部変えるぞ!
っていうわけにもいきませんしね。
自動車なんかの場合だったら、
同じ商品名だとしても新商品に見せたいから
ガラっと変えちゃうことがあり得るけど。
[ 佐藤 ]
「ほぼ日手帳」は見事にその逆ですね。
[ 糸井 ]
そうですね。
ひとつの商品として、
継続すべきところを継続し、
変えるべきところを変えて、
なにかしら、新しく足す。
その意味で重要なことっていうのは、
やっぱり、去年と今年、
卓さんがやってくださったように
「毎回、細かく検討して調整を繰り返す」
ということなんじゃないかなぁ。
[ 佐藤 ]
そうですね。
[ 糸井 ]
いやぁ、しかし、方眼に関しては
いい結論にたどり着いたと思います。
3.7ミリ。

[ 佐藤 ]
じつは、去年、方眼の大きさを検討したときも、
3.7ミリ版をつくってるんですよ。
その意味では、まったく新しいサイズじゃなくて、
徐々に3.7ミリに調整されてきたといっても
いいのかもしれません。
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