2008.11.23
手帳を中心に、おそろいの色の小物を楽しんでいます。(2/3)

[ 小山 ]
うちの資料がいま、34万点あるんです。
すべて大切な文化財ですし、ここは東京都の施設なので、 資料は都民のみなさんのものですから、 館から外に出すときは、やっぱり緊張しますね。
重要な仕事だと思っています。

●仕事とライフワーク。
 スケジュール管理に活躍してます。

[ ーー ]
手帳はどういう使い方をされていますか?

[ 小山 ]
予定をとにかく書いていってます。
メインに使っているのは、月間カレンダーですね。
他館からの「何日に来て調査をしたい」とか、 江戸博のコレクションのなかから 「この資料を次の展覧会に借りたい」とか、 研究者の方からの 「論文を書くために、この資料を閲覧させてほしい」
といったご要望に応えるときに、 それが重ならないように、この手帳で管理してます。


ただ、1日ページは、あまり使い切れてないんですよ。
もっと楽しい使い方もしてみたいんですけど。
忙しいとほんとに書かなくなるし‥‥。
あ、ここは絵が描いてあります。


茶道をやっているんですが、 この日、「茶箱の手前」というのを習って、 帰りの電車のなかで描いたものですね。
それから、プライベートというか、 ライフワークで版画の研究をしてまして、 その関係のことは、よく書いてます。
原稿を依頼されて書くことも多いので、 その締切とかの予定を、 年間インデックスのページに書いてます。

[ ーー ]
版画の研究といいますと。

[ 小山 ]
ここでの仕事ともつながっているんですが、 浮世絵と、それより少し後の時代、 大正、昭和の版画を研究しています。
以前「ほぼ日」の「美しき日本篇」の連載でも 取り上げていただいた、あの時代の版画ですね。
1日の仕事を終えて、帰りの電車に乗ると、 仕事のことはひとまず忘れて(笑)、 こういう締切とか、いま自分が背負ってるもの、 みたいなことが気になってくるんです。
年間インデックスのページでその締切を見つつ、 1日ページでテーマや内容を考えて、 それをいつ書こうかと考えると、 結局、月間カレンダーにつながるわけです。

[ ーー ]
年間、月間、1日ページの連携ですね。
ちょっと見せていただくと‥‥ 「先行研究、調査、報告、概要‥‥」
うん、難しそう。あ、これはなんですか?


[ 小山 ]
あぁ、「えどはくカルチャー」ですね。
この館で、一般のかたを対象にした講座をやってまして、 その講師もしているんです。
この日はその講座の内容を考えてたんですね。
私がもし、うちの館長のように物知り博士だったら、 もう何もしなくてもできるんしょうけど、 自分でも勉強しながらやっているので、 電車のなかでも考えたりしてますね。
こう、かまえず書けるというか、 スケジュール管理にとどまらないで、 この1冊で考えごとができる。
そういうところがこの手帳のいいところですね。

[ ーー ]
講座のテーマは、 ライフワークとおっしゃっていた版画ですか。

[ 小山 ]
そうです、そうです。
学芸員って、だいたい専門を持っているんです。
歴史とか、民俗学とか、考古学が専門とかですね。
で、私は浮世絵が専門です。
34万点の資料のなかでも とくに浮世絵のことを重点的に見るのが ひとつの仕事、という意識がありますね。

[ ーー ]
暦の連載がご縁で、とさきほどお話にも出ましたが 小山さんはふだん、旧暦を意識されたりしますか?

[ 小山 ]
してますね。
その連載の取材を受けた近松の話を聞いていて、 私自身もすごく感動したんです。
日本の四季の大切さをあらためて考えたのと、 日付と気候と自分の感覚が合わないなって、 なんとなく感じていたので。そういうときに、 「日本にはもともと和暦があって」という話を聞いて、 「あぁ、なるほど」と思ったんですよ。
七夕の日が晴れないわけとか、ほんとに納得しました。
それから「満年齢早見表」、これもよく見てますよ。

[ ーー ]
あ、そうですか。

[ 小山 ]
明治、大正から年号が載っている手帳なんて、 ほかにないですから、これは、ありがたいです。
資料には、必ず年号をつけるんですね。
西暦を年号でいうと、あるいはその逆とか、 そういうときに、 昭和と大正はだいたい覚えてるんですけど、 明治時代になるとちょっと厳しいんですよ、私。

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