糸井重里のコラム
2026-05-30
いまも、花は咲いている。

・花は桜というけれど。なにかというと日本といえば桜で、まるで桜ばかりが咲いている国みたいに言うけれど。桜はたしかに大スターみたいなところがあるけれど。ねぇ、桜が散った後に、歩く膝のあたりの高さに、つつじが鮮やかに咲いている。あんまりたくさんあちこちに咲いているので、わざわざつつじの花見をする人もいない。いまどきの小学生も、昔と同じように、つつじの花を摘んでちゅちゅっと蜜を吸っている。昔の子どもと同じように「あまーい」とか言っている。そのうちには、あちこちの植え込みや生け垣に、バラの花が咲きはじめる。バラはあまりに人気があるので、いつどんな季節でも花屋さんにあって、どこかで咲きはじめたとか思われにくい。でも、植えたバラが咲くのにはいまごろがいい季節だ。商品になっているような立派な花だけでなく、たいしたことない花が咲いているのも、とてもかわいい。梅雨のことを思い出すあたりで、梅が実をつける。そうか、梅雨とは梅の雨と書くのだものな、と思い出す。花は二月の寒いころ咲いていたんだっけ。そのうち、土地によっては、あんずの実もなりはじめる。ぼくはあんずが大好きだ。今年もおそらくあんずのジャムをじぶんでつくる。ジャムのなかでいちばん好きなのは、あんずジャムだ。梅雨の終わりはもう夏で、さまざまな雑草が、おおはしゃぎで伸びて繁っていく。迷惑かもしれないが、あんな元気がうらやましい。そうそう、あちこちで朝顔がつるを伸ばして花を咲かせる。都会にだって、田舎にだって、背の高いひまわりが咲く。でかいだけでも、大きな取り柄だよ、ひまわりたちよ。

花は桜というけれど、桜のあとも花暦は続いている。その時期、その時期、スターじゃなくてもいい役者たちが、ぼくたちが目をやろうがやるまいが、咲いているんだぜ。いつでもそこに音楽があるように、いまも花は咲いている。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。街の植え込みを手入れしている方々には、感謝しております。

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