糸井重里のコラム
2026-04-01
爪切りマニアの告白。

・長い間、爪切りについては考えてきた。どんな爪切りがいいのか、国産、舶来、いくつも買った。切って試して、使い続けて、人にも薦めたり、なんなら進呈もしたり、同じのをいくつも買ったりもして、「これが世界でいちばんいい爪切りだ」と決めてきた。さらに、さらにもっといいのがあるかもしれないと、探し続けることも、やめはしなかった。そのせいで、新チャンピオン誕生みたいに「いちばんいい爪切り」も何代か変わってきたし、いつでも探しているよ山崎まさよしのように桜木町も。

いい爪切りは、よく切れる鋭い刃を持ってるわけで、その鋭い刃と鋭い刃の間に爪を挟んで断つのだから、刃と刃が衝突して、鋭さを潰し合っちゃうじゃないか?なんてことも考えたけど、そうじゃないんだぜ。刃と刃は正面からぶつかり合うのではなく、微妙にずれて擦り合う設計になっているので、やっぱり爪は「切っている」ということなのだ。とかね、爪切りという道具のことばかり追いかけていた。

ところがここにきて、いまさら、爪の「切り方」について、「おれはまちがってる?」と考えさせられることになった。もともと、じぶんは深爪なのであります。手のひら側、指の先端から爪が見えていることはない。そして、その指の先端のカーブに合わせて「( 」こういうかたちを描くように爪を切っていた。しかし、それがちがっているという説を知ったのだ。「( 」はダメだ、あえていうなら「 [ 」だ、と。サイドに食い込ませるな、もっと真っ直ぐに切れと。えーっ?! ぼかぁ、もう四分の三世紀も、深爪の「( 」でやってきてるんだぞ、自慢じゃないけど。そう言いたい意地もあるが、おれは爪切りの求道者なのだ。そそくさと、直線に切れる爪切りを買うことにした。やってみた、ぜんぜんうまくいかない、日常に差し支える。爪の角が不自然に世界にひっかかるのだ。慣れてないせいかとも思うが、もう2週間ほど不自由だ。「 [ 」やめようかなぁと思いつつ、さらに探求したくて、新しく「 [ 」に切れるニッパー式の爪切りも買ってみた。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。さすがに、もう少し試したら、もとのまるい深爪に戻します。

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