糸井重里のコラム
2026-01-03
犬と、子どもと、大人のドッグラン。

・「ドッグラン」というものがあります。犬が、リードをつけずに走ったりできる場所です。他の犬もいますから、もめごとが起こらないように、それぞれの犬の飼い主がなんとなく見守っています。「ドッグラン」のなかにはクルマも通らないし、他の用事のある人や、犬を嫌いな人もいません。周囲は金網のフェンスで囲われているので、犬がどこか遠くに走り去っていくこともありません。遊び道具があるわけでもなく、雨をしのげる屋根もなく、あるのはせいぜい水飲み場ぐらいでしょうか。思えば、ここにあるのはフェンスと敷地だけなのです。ある意味、なにもないのが「ドッグラン」です。

うちの娘の娘が、もう少しちいさいときに、「なにがしたい?」と訊かれると、いつでも、大声で「こうえん!」と答えていたのを思い出します。「公園に行くこと、公園にいること」がしたいのです。すべり台やら、ブランコ、砂場なども公園にはありますし、そういう「遊具」はもちろん大いに使うのですが、たぶん遊び相手さえいれば、なにもなくてもよさそうです。つい先日も、広い庭のある家で子どもどうしが遊んでいて、大人たちにも「追いかけっこしよう」と誘っていました。ここも、思えば、安全に走り回れる敷地です。公園も、子どもの「ドッグラン」なのかもしれません。

さて、大人の「ドッグラン」というのは、どこでしょう。もしかしたら、放課後の教室みたいなところとか、休み時間のカフェだとか、ちょっと寄れる居酒屋とか、そういう店や施設も「ドッグラン」かもしれません。でも、大人の場合、なにかゲーム的なルールだとか、サービスだとか、飲みものや道具を必要としてそうです。しかし、やっぱり「公園」もいいんじゃないでしょうか。フェンスと敷地だけでもいい、つまり、その場を「わたしの領域」だと思えたら、それは大人も解放してくれる「ドッグラン」です。走り回るかどうかは知りませんが、でこぼこでもいい。じっとしていたって、話しこんでいたってかまわない。そういう場所、じぶんにとっては、どこなのかなぁ。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。ぼくは子どもと遊びたいけど、追いかけっこだけはいやです。

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