人はなぜ歌を詠むのか

ふうせんが九つとんでいきましたひきざんはいつもちょっとかなしい

朝日新聞夕刊(13日)で紹介された当時小学校1年生だった少年の歌です。
お母さん、お姉さんも
「朝日歌壇」入選の常連で、このほど家族の歌集『じゃんけんできめる』が出たそうです。

朝日歌壇の選者・永田和宏さんは、こう評価していらっしゃいます。
「家族の本質とは、時間を共有することだと思う。
歌の中に家族のその時の時間が残っていて、みんなで思い出すことができるというのは、すごく幸せなこと。
読者もそれを共有できて、ほっとするのだと思います」

ほぼ日の學校・万葉集講座の始まりのとき、永田さんはこうおっしゃっていました。
「歌というのは自分の気持ちを表現するいちばんいい表現なのです。
夫婦の間、親子の間で、面と向かって言わないことも歌でなら伝えることができる。
実際、そんなことが何度もありました」

それでもやっぱり、時折立ち止まって考えるそうです。
人はなぜ歌を詠むのか、と。

この春刊行されてドラマ化もされ、大きな話題となった永田さんの新刊
『あの胸が岬のように遠かった 河野裕子との青春』を読むと、永田さんと妻で歌人の故・河野裕子さんの息苦しいまでに純粋でまっすぐな青春が赤裸々に描かれ、他人が読んでいいものかどうかちょっと戸惑うくらいです。

何ゆゑにここまで書くかと自らに恐れつつ書き、書きなづみゐき

執筆中の永田さんの歌です。
半世紀歌を詠みつづけてきてもなお悩む。
なぜそこまで書くのか、と。
そんな歌人の胸中をぜひ生の言葉で聴いてください。
永田和宏さんの授業、本日アプリで再配信です。

2022/09/14 11:04

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