門番

私はいま、コズフィッシュに来ています。
打ち合わせです。
本格的な、本の制作のために来ているのです。

時間どおりにうかがったら、門番がドアの外にいました。
どう見てもデザイナーの祖父江慎さんなのですが、
「おじょうさん、ここを通りなさるのかね」
と言ってきます。

はい、そのドアを開けないと、私は本がつくれないのです。

「ここはな、100年前までは本をつくっているところだったけどいまは廃墟になっとるんじゃ」

そういえば、以前はこんなに木の葉がありませんでした。

「じゃろ。100年経っちまったからな」

ええっと、そのドアを開けて、入ってもいいでしょうか。

「ここのドアを開けると、時間がとんでもないことになるぞ」

それは知ってます。

「タイムスリップするぞよ」

それもなんとなく知ってます。

「その覚悟のある者だけが通るんじゃ」

私はとうとう、ドアをあけました。
あんのじょう、タイムスリップしまして、だいぶいま、足元がフラフラです。

#この本のこと-1

2019/11/29 18:19

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