深くて楽しい 万葉集講座第2夜

ほぼ日の学校・万葉集講座
2回めの今夜は、万葉集研究者・上野誠さんのお話をたっぷり2時間半うかがいました。
前回講義が河合祥一郎さんをゲストにお迎えしての万葉集とシェイクスピアの出会いという
「いきなりヘリコプターでエベレスト」
みたいな曲芸的授業だったとすれば、今日の講義は、エベレストを自分の足でしっかりと登るための4000メートルまでの高度順応トレーニングのような地に足のついた授業でした。

でも、これまた上野さんの巧みな話術でまったく苦しくない、笑って登れる高山トレーニングでした。

まず取り上げられたのは、万葉集の「はじまりの歌」。
巻1の1、雄略天皇の若菜摘みの歌です。
国土を統一した「英雄」である天皇が、若菜を摘む娘たちに、名前を言いなさいと呼びかける歌です。
古代、名を尋ねることは求婚を意味し、娘が母に呼ばれる名を教えるのは、承諾の意味だったそうです。
天皇が訪ねた先で土地のものを一緒に食べ、土地の女性とちぎりを交わす。
そうした春の喜びを寿ぐ歌を冒頭に掲げたことに、上野さんは万葉集編者の強い意思を感じるとおっしゃいました。

そこから話は、いまに通じる助詞の「も」と「は」の違いについて
(上野さんのたとえ話の絶妙なこと、見ていただけるのは少し先になりますが、ぜひオンライン・クラスでご覧ください)、母系社会について、庶民が結婚相手をみつけるために多用された歌の掛け合いである
「歌垣(うたがき)」という文化のこと、万葉集は実は「女歌」が元気なこと……といった、万葉集に親しむために大切な要素を詰め込んだ講義へとつながっていきました。

簡単に要約できないくらい盛りだくさんなお話でしたが、ポイントは、上野さんにとっての万葉集は
「生活と実感」であるということ。
古文のテストのような
「傍線Aの意味を解釈しなさい」
ではなく、時間をかけて遊びながら、詩を実感すること。
古典をその時代の「語り」の中で再生していくこと。再生の仕方には、その人その人のやり方があること。
そんなお話だったように思います。

おおらかに胸が開かれていくようなそんな楽しい万葉集講座でした。

2018/12/05 22:36

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