「じゃあ、自分の言いたいことって何なんだろう」
というのはもう、自分で必死で探すしかないんだよ、という時代のひとりの先祖です。
ぼくらは、そういう伝え方をしたいと思ってます。
[村松]
イトイのそのセンスでやったらおもしろいと思うよ。
1000円の消しゴムを買うことを、左様にすごい人なんだとそのまま監督のイメージまでひっぱって重ねるのは、ちょっと違うと思う。
一朝一夕でない技術を持った、努力家で、勤勉でね。
[糸井]
その都度、ターゲットというのをすごくはっきりつかんでる人で。
[村松]
それで、それに対して向かっていく役作りをするんだ。
[糸井]
それは、これまでの文脈だと軽んぜられるタイプの才能だったかもしれない。
[村松]
そうでしょうね。
[糸井]
でも、いまを生きてる人間にとってはそれはすごいことなんですよね。
[村松]
どこにもない、伊丹十三というジャンルだったんだよね。
伊丹さんは知ってか知らずかそれを見事に作って、あとの人に置いてった。
それをあまりくるみすぎないようにできたらいいよね。
[糸井]
これはやっぱり、書きようがない話ですよね。
[村松]
うん。
こうやって、少しだけ話すことならできるんだけど。
[糸井]
書いても書いても追いつかないですね。
[村松]
うん、追いつかない。
[糸井]
今日はお話できてうれしかったです。
ありがとうございました。
[村松]
こちらこそ。
[糸井]
じゃ、これからメシでも行きますか。
[村松]
鮨? うれしいね。
(おしまい)
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