ほぼ日刊イトイ新聞

動物はみんな、 ほかにはないものを 持っている。

私たちが、人や犬や猫や鳥などの動物と
いっしょに暮らしたいと思うのはなぜだろう。
ある日、ミグノンに目のないねこがやってきました。
すごくかわいくて──それがこの夏の、
動物の旅のはじまりでした。
担当は、去年は鶏に親しんだ、ほぼ日の菅野です。2018年も「いぬねこなかまフェス」@人見記念講堂と
「なつのミグノン展」@TOBICHIを開催します。
ぜひみなさん、いらしてください。

第6回いまと同じ状態は続かない。

ボーニュ、ハニーパン、にじ色と出会って、
かんちゃんさんとボーさんの暮らしは
どのように変わったのでしょうか。

かんちゃん

「もう、ほんとうに感謝しています。
ミグノンとの出会いもそうだし、
保護犬をはじめ、
たくさんのワンちゃんのことを知るきっかけになりました。
ボーニュが家にいたときから
ブログをしているんですが、
はじめた頃、保護犬のブログはそんなにありませんでした。
でもいま、人気のブログは保護犬が多いような気がします。

それに、私はいま、
ホリスティックケアも習いにいってるんですよ。
恥ずかしながら、私はこれまでまともに
お味噌汁もつくったことなかったんですが(笑)、
犬のゴハンを手づくり食にしてから、
人間の料理もするようになりました。
そんなふうに犬たちは、私たちを新たな世界と
どんどん出会わせてくれています」

ボーさん

「いま、勤め先の病院が
アニマルセラピーをやっているので、
そこに2匹を連れていったりしています。
意外とこっちのリハビリにもなって、
人見知りがなおったんじゃないかな」

かんちゃん

「動物がいると、
人間同士の関係も変わってきますよね。
ふだん話さなかった人とおしゃべりが弾んだり、
ちょっと距離のあった人が、
動物ずきだとわかって親しくなったり」

‥‥おふたりとも、
もともと子どもの頃から
動物ずきだったんですか?

かんちゃん

「ボーはちいさい頃、
狸の赤ちゃんを保護してたんですよ」

た、狸‥‥? 

ボーさん

「道で轢かれてた、あかちゃん狸です。
怪我がなおるまで
ゴハンをあげていただけです」

それは動物ずきですね。

ボーさん

「実家にはずっと犬がいました。
でも、ぼくが子どもの頃は、
犬を外で飼っていました。
いまのように室内でいっしょに暮らすのとは、
ぜんぜん違います」

かんちゃん

「結婚する前、
ボーの実家にはじめて遊びにいったときに、
犬がいると聞いてたので、
たのしみにして行きました。
タケマルという名前なんですけど、
裏庭につながれてて、
私が呼んでも物音ひとつしないんです。
ほんとにいるのかな? と思ったら、
ボーが『タケ』とちょっと言った途端に、
起きて出てきました。

久しぶりに実家に帰って、
ずいぶん会ってなかったはずなのに
タケマルはちゃんと憶えてて。
そのとき、犬はほんとうに
切なくなるくらいに健気なんだなと思いました。
そこがうれしいところでもあるのですが、
『そんなにがんばんなくていいんだよ』と
言いたくなることもあります」

かんちゃんさんのご実家にも、
ずっと動物はいましたか?

「私は団地に住んでいたので動物が飼えませんでした。
でも、燕とか、野鳥の雛がよく落ちていて、
そういう負傷動物を見つけるたび拾っていました。
目も開かないような仔猫を保護したり、
命が危ない動物を家に連れ帰って‥‥
ほんとうに母親に感謝しかありませんが、
よく病院に連れていったりしました。

その後、引っ越して犬を飼うようになりました。
1匹はブリーダーさんから譲り受けて、
もう1匹は川に捨てられた犬。
それは兄が見つけた犬でした。
節分の日、大雪のあとの川に
おじいさんがビニール袋に入れて犬を捨てていたそうです。
それを小学生たちが見てて、兄が通りがかって
『あそこにワンちゃんがいるんだよ』と聞いた。
兄はそのまま川に入って、連れて帰ってきました」

雪の川に‥‥。
それはもう、兄妹そろって動物ずきですね。

「その犬、すごくいい子でした」

ご一家はお引越しの最中ですが、
にじ色とハニーパンは
これからどんどんできることが広がって、
また変わっていくかもしれないですね。

「そのときどきによって違うし、
同じ状態はずっと続かない。
体調を含めて、この子たちにとって必要なことは
どんどん変わっていきます」

いまと同じ状態は、続かない。
それはきっと人間にもどんな動物にも
平等に、そうですね。

「いい状態から悪い状態になるという
マイナスの変化だけではありません。
例えば問題行動に悩まされる毎日が、
日々の積み重ねのなかで改善していくこともあります。
よくも悪くも、同じ状態は続きません。

その変化をたのしむように意識するのとしないのでは、
何かが違ってくるのかもしれません。
そのときどきのベストな状態をめざして
大切にすごすことを、
この子たちやボーニュが教えてくれます」

ボーニュとは、何年くらいご一緒に
暮らしたんですか?

「7年です。
そのうち、介護は2か月くらいだったかな」

ボーさん

「え? 半年くらいかと思ってた」

かんちゃん

「転んで顔をぶつけるようになって、
あわてて車椅子をつくったのが6月、
亡くなったのが8月でしたから、2か月です。
でも、そう思うくらい、
実際すごく長い時間に感じました。

最後のほうはボーニュは認知症になって、
車椅子に乗ってもうまく動けなくなりました。
自分で行きたい方向に行けないから、
家の中でドシン! とぶつかったらもう、
私たちが帰るまで
そのまま動けなくなっていました。
動いてないと不安になってしまうので、
車椅子の片車輪にポールを通して、
フラフープをレールにして‥‥」

ボーさん

「1室をボーニュのレールの部屋にして、
ぐるぐるとまわれるようにしました」

それは、ご主人のお手製で‥‥。

かんちゃん

「はい。
寝室とボーニュの部屋は別だったので、
私たちは交代で『夜勤』といって、
毎晩つきそっていました(笑)。
たいへんだったけど、たのしかった。

介護だけではなく、ほかのことでも、
その子の『そのとき』に合った何かが
ぜったいにあるから、
それを見つけて工夫してみると
いいんじゃないかな、と思います。
工夫したことがうまくいって、
犬がたのしそうにしてくれるのが実感できたとき‥‥
それはすごくうれしいです。

にじ色は自分で進むことができるので、
車椅子をいまはちょっと嫌がるんですよ。
試乗品のときはよく歩いてくれたんですけど、
本人用が完成した途端、
『そんなのなくても歩けるよ』といって怒るんです(笑)。
そうそう、この前思い立って、
車で宮島まで行ったんですよ」

ええ? 車で。
広島の宮島ですよね。

「まず淡路島に行って、
転々としながら宮島に着いて、
京都をまわって帰ってきました。
2匹とも車が好きで、車に乗るといつもご機嫌です。
だからもう、行けるとこは
ぜんぶ行こう! と思って(笑)。
来月は北海道に行くんですよ」

にじ色ちゃんの歩く姿、動画はこちらです。

(つづく)

2018.08.22 WED

TOBICHIでやるよ!なつのミグノン展 2018

2018年8月24日(金)~26日(日)
TOBICHI「すてきな4畳間」
11:00~19:00

今年の「なつのミグノン展」は、
ミグノンと吉祥寺にある紙もの屋さん
「ペーパーメッセージ」とのコラボです。
「ペーパーメッセージ」のデザイナーさんが
ミグノンの保護動物のイラストを描きおろし、
いろいろな紙雑貨をつくってくださいました。
紙雑貨の販売はもちろん、原画の展示販売も行います。
おなじみ、ミグノンのチャリティグッズや、
9月9日に開催する
「いぬねこなかまフェス」のチケットも
特典つきで販売します。
(TOBICHIで申し込むと、座席を選べますよ)
ぜひお越しください。

いぬねこなかまフェス 2018~動物愛護週間に集まろう~

2018年9月9日(日)昭和女子大学人見記念講堂 
16:00開場 17:00開演 
全席指定4,500 円(税込) 

■出演者
akiko/糸井重里/スティーヴ エトウ/坂本美雨/
清水ミチコ/鈴木杏/椿鬼奴/富樫春生/友森玲子/
畠山美由紀/町田康/水越美奈/矢崎潤/渡辺眞子
(五十音順)

■お申込み
e+
ローソンチケット
0570-084-003 Lコード:76291
チケットぴあ
0570-02-9999 Pコード:118-615

動物愛護週間に向けて、
動物たちのために学び、考え、助けるイベントです。
動物を愛するさまざまなジャンルの出演者が集まり、
毎年協力して作りあげています。
チケットの売上から制作費を引いた全額と、
オフィシャルグッズの利益全額は
ミグノンの保護動物たち約160頭の医療費と
シェルター家賃、光熱費などに充てられます。

出演の方々の演奏や朗読に加え、
災害時のペットについての講演、
動物を看取ることについての
パネルディスカッションもあります。
いま動物と暮らしている人も、そうでない人も、
これからの人も、
学びながら保護動物に支援をください。
ロビーではオフィシャルグッズに加え、
今年は出演お休みの矢野顕子さんの
ガレージセールも予定しています。