ほぼ日の給食。 週に一回、火曜のおひる。 「ほぼ日」では「給食」が出るんです。 大ホールと呼ぶ大きな部屋で みんなでいっしょに「いただきます!」 これが、あったかくって、たのしくて、 そして、じつにおいしいのです。 つくってくれるのは 飯島奈美さんのお母さん、幸子さん。 2011年の夏に手探りでスタートしてから だいぶ軌道に乗ってきたので これまでのことと、これからのことを コンテンツにしてみます。 レポート役は「ほぼ日」奥野です。 不定期ですが、連載していきますね。
 



とある、火曜のおひるどき。

我が社には、おいしそうなにおいとともに、
このような光景が広がります。

はい、そうです。いわゆる「給食」です。

週に一回、我が社では
火曜のおひるに「給食」が出るのです。

昨年2011年の7月にスタートしました。

もちろん、
自分たちでつくってるわけじゃなくて
毎回の献立を考えて
実際に調理してくださっているのは
『LIFE』の飯島奈美さんのお母さん、幸子さん。

お友だちの大花啓子さんと
飯島奈美さんのアシスタントさんの3人で
毎回60名分(!)もの給食を
朝の8時から準備してくださってるんです。

幸子さんの献立は、定番だけど、いつもちょっぴり驚きがあります。
「え、ここに梅を和えると、おいしいんだー」というような。

幸子さんは
ながく保育園の園児たちのごはんをつくる
お仕事をされていました。

つまり、もともとプロですから
すごく手際もよいですし
たくさんの量をつくることに慣れています。
衛生の観念も、とても厳しいです。

また、チャレンジ精神も旺盛で
このあいだなどは
青森から取り寄せた「夕顔」があまりに大きく
余ってしまったため
「次、何に使おうかしらね~」と言いながら
次回のときに、たいへん美味しいお吸い物を
つくってくださいました。

この巨大さといったら! 青森産の夕顔です。

また、ぼくたち食べる人に対し
細やかな心遣いをしてくださるのがわかって、
それが、すごくうれしい。

2週連続で
同じようなメニューが続かないようにとか、
独身男性もいるので
なるべく、野菜類を多く摂れるようにとか。

さらには、しいたけが苦手だったり、
玉ねぎがダメだったり(それはぼくですが)、
人によって、
そういうことを覚えてくださっていて
たとえば、ぼくのぶんだけ
「玉ねぎを抜いたかぼちゃサラダ」を
別に用意してくださったり‥‥。

「飯島奈美さんのお母さん」ではありますが
「ぼくらのお母さん」のようなのです。

(実際、みんな「お母さん」と呼んでいます)

そして、かんじんかなめの、給食のお味。
これが、本当に、おいしい!

塩麹を使った、大きな手作りシューマイ。
今でも「あれはうまかった‥‥」と語り草となっているメニューのひとつ。

それもそのはず、飯島奈美さんもいっしょに
毎回の献立の決定や
メニューや味付けの試作を
やってくださっているんだそうです。

そして撮影のお仕事が入っていないときには
飯島さんも
「ほぼ日」のキッチンに来てくださって
お母さんたちといっしょに
ぼくらの給食を、つくってくださっています。
(ここは、ちょっと「いいでしょう?」と
 言いたいポイントです)

そんな「給食」を「やろう!」と言い出したのは
もちろん弊社の社長・糸井重里です。

メニューは、前日くらいに発表されるので、
そのときぼくらは「明日のお昼」に思いを馳せます。

糸井重里は、それを「ツイート」したりします。
最近だと、このようなふうに。

この気持ち、すごくよくわかるのです。
だって、本気で楽しみなのだから‥‥。

ぼくらも「餃子」と知ったときは、湧きました。

実際、この「給食」については
みんな、かなりうれしがっているみたいで
火曜の朝の「ほぼ日」は、
いつも以上に、ワサワサした雰囲気。

取材とか打ち合わせに出かける人も
あんまりいません。
極力、スケジュールを入れないように
しているっぽいです。

それどころか
いつもよりお客さまの数が多かったりして‥‥。

(お母さんたちは
 お客さまにもつくってくださるのです)

こんなにもみんながうれしがっているのなら
やっぱりコンテンツにしなければ。
そういう意味でも、この文章を書いています。

事前の「湧き度」が高かったメニューといえば、こちら。唐揚げとちらし寿司!
「2杯目以降」のために「マイふりかけ」をデスクに常備する者あり。

とまあ、このような我が社の「給食」ですが
いろんなことが
スムーズに進んでいったわけではありません。

担当になった乗組員も経験などなかったので
ひとつひとつが、実に手探りでした。

たとえば、キッチン。

決して、じゅうぶんに広いとはいえませんし
炊飯器も、たぶん足りない。
お母さんたちにとっての使い勝手も、未知数。
ガスコンロはなくて、IHです。

ですから、つくる側のお母さんたちも
いただく側のぼくたちも、
はじめの数回を「れんしゅう」だと思って、
そのために取材などもしました。

ひとつには、愛知県瀬戸市にある
テーブルウェアメーカー「マルミツ陶器」さん。

こちらの会社では、月に一回、
料理好きの加藤健司社長が中心となって
社員のみなさんに
おひるごはんをつくっているんです。

社員の数が「ほぼ日」と同じくらいだったので
どういう道具で
どういう段取りでつくっているのかを知るため
飯島奈美さん、お母さんと行ってきました。

昨年の6月ごろのことです。

この日のメニュー。大きなメンチカツ、なすの揚げ浸し、マカロニサラダ、
鶏ごぼうとトマトの炊き込みご飯‥‥ボリューム満点!
また、そのときにわかったことを元に
道具街のかっぱ橋へ
キッチン用品をそろえに行ったり、
給食担当の元木と甲野が
材料の手配のことや、給食当番のことなどを
試行錯誤しながら整えていったり。
元木(左)と甲野(右)。いろいろがんばり、給食を「週一」の軌道に乗せる。

さまざまなことが軌道に乗り、
給食が「週に一回」という今の状態になるまで
半年くらい、かかっているんです。

失敗もあったし、やってみてわかったこと、
この先、
改善されていくこともあると思います。

なので、そのへんのこともふくめて
「ほぼ日」という会社が
手探りで「給食」をやりはじめた記録みたいに
なったらいいなと思って
このコンテンツをやろうと思いました。

このあとは、
マルミツ陶器さんでの取材のようすや
かっぱ橋の道具さがしなど
時系列にそって振り返りながら、
たまーに
お母さんのインタビューなども挟みつつ、
進めていこうと思います。

不定期の連載になると思いますが
気長に気楽に、お付き合いくださいませ。

あ、最後に、
「第一回の給食」をご紹介しましょう。

こちらです。

メニューは

○チキンのもも肉焼き
○野菜たっぷり白あえ
○トマトサラダ
○ごはん
○ワカメと玉ねぎのみそ汁

でした! 

しょうがだれのチキン、おいしかったなあ‥‥。

(みんなが、味とかをかなり「覚えている」のも
 ほぼ日の給食の特色かなと、いま思いました)

<つづきます>



2012-10-01-MON