黒柳さんが話した、 黒柳さんのこと。こんな話は、二度と聞けないと思って。


第8回 すごいのに、すごく見えない。
黒柳 水中ヨガは、名高さんも弟もできなかったから、
みんなできないのかなぁと
思い直して、そのままでいたんです。
ところでわたし、
「ザ・ベストテン」という番組を
長いことやらせていただいていたんですが。
糸井 はい、はい。
黒柳 夏にロケで放送したとき、たまたま
プールのそばで
「今週の第1位」と言う機会がありましてね。
糸井 はい(笑)。
黒柳 もう久米さん(久米宏さん)はいなくて、
コニタン(小西博之さん)といっしょに
司会をしていたときです。
プールを目の前にして、ディレクターさんに
「わたし、ちょっと
 水中ヨガができるみたいなんですけど」
って言ったら、
「やってみてください」
と言われまして、
ブラウスとズボンを着たまま水に入ったんです。
一同 (笑)
黒柳 服を着たままだと普通は重いと思うんですけど、
足をグーッと手前に引っ張って
ポーズを取ったら、
すぐにできました。
コニタンって、遠泳の選手なんですって。
糸井 そうなんですか。
黒柳 だから、コニタンに「やってみて」って
頼んだら、すぐ下向きになって沈んだの(笑)。
誰がやっても沈んだの。
マッチ(近藤真彦さん)がやったら、
マッチも沈んだの。
一同 (笑)
黒柳 だから、
「これはあんがいできないんじゃないの」
ということになりました。
糸井 とにかく、黒柳さんしか
できないわけですからね。
黒柳 わたしは、やれば何時間でも
やっていられるわけです。
そのまま「今週の第1位」も言えるから
じゃあそうしよう、ということになりました。
糸井 ええ?
黒柳 水ってほんとに怖いのよ。
プールの中じゃ、着ていたブラウスのボタンが
ポンポンポンって全部外れたんですから。
糸井 怖さの種類が
ちょっとわからないですけど(笑)。
黒柳 ボタンって、手でこうやって、
取るのもはめるのもなかなか大変でしょう?
だけど、何にもしないのに、
水がどんどんどんどん外しちゃってるんだもの、
すごくありませんか。
糸井 わりとこう、怖いというではなくて、
エロティックなイメージなら
あるかもしれないけど‥‥。
黒柳 ね?
ですから、ブラウスだとダメなので、
急遽、後ろがチャックになった服を
用意してもらって、
やったんです、「今週の第1位!」
サザンオールスターズが1位でした。
一同 (笑)
黒柳 放送後、それを見た日本中の人が
やってみたらしいんです。
やっぱり誰もできなくて、
「どうやるんですか、どうやるんですか」
って、質問がたくさん来たんですって。
糸井 「タネはどうなってるんですか?」
と、言いたいですよね。
黒柳 水泳の木原光知子さんも
放送を見たそうなんですけど、
木原さんは
「どっかに絶対浮き輪を入れてるんだろうな」
って思ったそうです。
糸井 やっぱり、普通じゃ無理なんですね。
黒柳 わたしはいきなりできただけだから、
みなさんに「どうするんですか」と言われても、
伝えられなくて
「できたんです」としか言えないです。
木原さんがあまりにも
「ほんとにできるの?」って言うから
木原さんの目の前でもお見せしました。
4年くらい前にも、木原さんから、
「ちょっとあれを、
 みんなのいるところでやってほしい」
って言われて。
糸井 「例のあれをやってくれ」
黒柳 そうなのよ、フッ(笑)、木原さんは
「ウーマンズ・スイム・フェスティバル」
というのをやってらっしゃるんですけど、
そのプールでのスターターをやらせていただいて
そのあとで「例のあれ」をやることにしました。
みんな「わー」なんて言ってんだけど‥‥
ここまで話しておわかりだと思うんだけど、
その水中ヨガがすごいのは、はっきり言って、
ちっとも難しそうに見えないの。
糸井 うーん‥‥見えないんでしょうね。
黒柳 そんなの誰でもできるって思っちゃう。
ヨガのポーズで浮かんで
「今週の第1位」
「ウーマンズ・スイム・
 フェスティバル2004!」
とか。
一同 (笑)
糸井 まわりでどんどん沈んでいく人たちを
いっしょに中継しないと、
黒柳さんのすごさが伝わらないですね。
黒柳 木原さんが「すごいんですよ」って
言ってくだすっても、
みんなは「そうか」と思うくらいでねぇ。
糸井 ところで、つまり‥‥それは、
どういうことなんでしょうか?
黒柳 みんながね、脂肪の関係だろうとか、
お尻の関係だろうとか、いろいろ言うんだけど、
結局わからないんです。
横から見ると、わりあいお尻が水中で
下がってるんですよ。平らじゃないの。
だから余計、木原さんが
「あんなにお尻が下がってて
 手足を動かさないで、
 いつまでも浮いてるということはありえない、
 不思議だ」
とおっしゃるんです。
小包状態ですから。
糸井 なにか理由をつけたくなりますね。
黒柳 加山雄三さんってね、科学的な方なんだって。
糸井 はい、はい。
黒柳 加山さん、海の人だからね。
水中ヨガの話をちょっとしたら、さすが、すぐに
「あ、それはできません」
っておっしゃった。
「あなた、細胞がちがうんだと思います」って。
一同 (笑)
黒柳 「細胞がちがわないとそうなりません」って、
なんだかそんなことをおっしゃいました。
こんなに誰もできないことができるのに、
わたしは、なんの商売にもならなければ、
なにも評価してもらえない。
一同 (笑)
水中の話、次回に行きます!

2008-09-10-WED



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