むかしの暦で、いまを楽しむ。 旧暦と暮らす「ほぼ日」の12か月。
2006-12-19-TUE
旧暦:十月二十九日
そろそろ、どたばたし始めた12月も下旬ですが、
旧暦だとまだ10月のおわりなんですね。

さて、今日から年明けまでの
『むかしの暦で、いまを楽しむ。』は、
暦にまつわる落語の枕もお使いになるという
立川志の輔さん
そして、もちろん「暦博士」の
近松鴻二先生
最後は、おなじみ
糸井重里
の3人による、座談会をお楽しみください。

話は、旧暦から、沖縄から、先史時代から。
旧暦を軸にあっちへいったり、こっちへきたり、
場所も時代も、いろいろ展開していきますよ!


え?! 1年が13ヶ月ある?


糸井 僕が旧暦の連載を「やろうぜ」、
と言ったきっかけは、志の輔さんなんですよ。
志の輔さんの落語に旧暦に関する枕があって、
それを聞かせてもらって、思いついたんです。
志の輔 沖縄の漁師さんは暦にあわせて漁に行くんです。
ところが、暦が旧暦から新暦に変わったもんだから、
もう全然魚がとれない。
でも、そのあとも漁には出続けて、
ある日を境に急にどーっと魚がとれる。
「いけね。
 魚には、新暦のことを教えてなかった!」
ってことになるんですよ。
近松 (笑)
平均すると、旧暦(太陽太陰暦)だと
新暦にあてはめると
約一ヶ月ほど、日付が遅れますからね。
糸井 そもそも、志の輔さんが、
旧暦に興味をもった理由って
なんでしょうか?
志の輔 満月の日に犯罪が多いとか、
新月の時に出産が多いとか、
聞いたことがあるんですよ。
最初、よくわからなかったんです。
でも、よく考えてみると
「なるほど」と、思うことがあって。
人間の身体にも70%から80%の水分がありますよね。
そんなに水分があるんだから、
満ち潮と引き潮と同じように、
月に引っ張られたり押されたりしてないわけがない、
と思ったんですよ。
そうすると、
月の満ち欠けで、感情の幅や、
体とかも変わってくるのは
当たり前じゃないかな、って。
満月の時なんかに、
それが最高潮になるんじゃないかな?
と、思ったんです。
だとしたら、その満月の夜にライブをやったら、
自分もお客さんも、相当ハイだなあ、って考えて、
それで満月の日に落語をやる
『満月の会』というのを作ったんです。
(笑)
糸井 へ〜〜〜。なるほどね〜〜!
志の輔 そして、調べたら、厄介なことに、
そのはじめようとした年に、
満月の日が13回あることに気がついたんですよ!
糸井 ご自分で?
志の輔 いやいや、自分でというか、事務所のスタッフと。
だって「満月の日、全部押さえろ!」
って言いましたからね。
糸井 (笑)
志の輔 何で13回も満月があるんだよ。
月に1回で、12回じゃないのかよ、と。
糸井 いい話だ(笑)。
志の輔 それで、
「いや、今年は旧暦では1年が13カ月あるんですよ」
「え?」
ということで、わかんなくなっちゃったんですよ。
で調べてみたら、
12カ月、12カ月、13カ月、
12カ月、12カ月、13カ月。
3年に1回は、13カ月があるんだ、
というのを聞いて。
いや、これは「旧暦って面白いなあ」
と、思いましたね。
糸井 やっぱり自分で追求したところで見つけた、
というのはやっぱり大きいですね。
志の輔 大きいです、大きいです。
糸井 知識じゃないですもんね。



志の輔 びっくりしましたよ。
ずっとこの生まれてこの方まで、
1年に満月になる日っていうのは
12回だと思ってたんですよ!
糸井 そんなこと、普段考えもしないですねえ。(笑)
旧暦のことといえば、
旧暦と新暦は、ただ1カ月ずれてる、
くらいに思ってるだけだし、
頭の中は、太陽中心になっちゃってますからね。
月は遠くなってしまっていますね。

(続きます。)

イラストレーター:玉井升一
詳しくはこちらへ