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 『くだらないの中に』
 星野源

 
2011年(平成23年)

彼の髪の毛を、
よしよしとするのが
おきまりでした。
  (こびと)

髪の毛の匂いを嗅ぎあって
くさいなあってふざけあったり


Facebook…

久しぶりに開いてみました。
そしたらこのお盆休み、
彼はタイへ初めての海外一人旅に行って、
帰って来たぜ! という投稿をしていました。

バリカンで刈り上げられた角刈り頭と
I love Thailand のプリントTシャツを着て
少年のような満面の笑みで。

笑っちゃいました。

5歳年下の彼とは出会ってからすぐに意気投合し、
ドライブ、映画、花火大会…と
夏らしいデートをいっぱいして付き合うことになりました。
お互いに好奇心旺盛でいろんな経験、体験をしたい!
そんなところに惹かれあったんだと思います。

彼は親の離婚や大学進学なとで若くして一人で暮らし、
一人で生きてきたところがあります。
そんな彼でしたが、ふたりで部屋にいるときは
何も言わず膝に頭をのせてきて、
私は彼の硬くてフサフサで犬のような髪の毛を、
よしよしとするのがおきまりでした。

あの頃よく聴いていたこの歌の通り、
髪の毛を嗅ぎあって くさいなぁ〜ってふざけあって、
くだらないけど、幸せだった。

私にだけ甘えてくれること、嬉しかった。
きっと彼の友だち知り合いが聞いたら
びっくりするでしょう。
あの彼が人に甘えるなんて。

しかし、秋になるとなんだか季節がそうさせたのか、
ふたりの心が噛み合わなくなり、
さらりと別れてしまいました。
私は冷静ではなかったし、彼は若かった。
それからは一度も会っていません。

最近、彼と最後に行ったご飯やさんに、
偶然、新しい人と初デートでご飯を食べに行きました。
これぞ、別れあれば出会いあるです。
5歳年上のその方は優しくて大人で落ち着いた素敵な方です。
この方と新しく初めてみようかなと考えました。

が、モヤモヤが溶けません。

しかし、今はっきりしました。

今日、Facebookで彼を見つけて。

私も彼と同じ年の頃、海外初一人旅に行きました。
行き先はタイでした。

やっぱり気が合う!! 同じこと考えてる!!

少年のようにひとり飛び出し、
現地で散髪して髪型がおかしくて、
面白ろTシャツ着て笑ってる。
そんな彼が大すきです。

あぁー角刈り頭をよしよししたいー!
もう一度この気持ち、ちゃんと伝えてみようと思います。

(こびと)

星野源さんのこの曲に、その思い出‥‥。
それはもう、ばっちり重なりますよね。
『くだらないの中に』は、ぼくも大好きな一曲です。

その恋は、いまどんなふうになっているのでしょう。
これを書いてくださった時点ではおそらく‥‥いや、
はっきりと、心は揺れていますよね。
その揺れは「Facebookで見た」が発端なわけで‥‥。
今の恋人たちはほんとにたいへんだと思います。
「揺れ」も「心配」も「チャンス」も「ミス」も、
常に片手(スマホ)に持ち歩いているのですから。
ずっと気が抜けない、ですよね?

この方はいまごろ、
角刈りをよしよしできているのかなー?
できていますように!

ドキドキしたー!!
たしかに今どうなってるのか、
気になるー!!!!
ほんと、くだらないことを
どれだけ共有できるかに、
人生の幸せがかかわってますよ。
恋も友情も、それは同じかも。
こんなこと言っちゃなんだけど、
もしこの「ふたたびの恋」が叶わなくても、
角刈りの彼は(こびと)さんにとって
だいじな存在であることに、
ぜったい変わらないと思う。
この先ずっと。

「くだらないの中に」は
ぼくも超傑作だと思います。
星野源さんはエッセイ読んで
こりゃすごいーって思ってて、
この曲を聞いてますます、
すげーって思いました。

若かりしころの、
よき恋の思い出‥‥と思いきや、
後半一転、「こっちが本心だ!」と
昔の彼と向き合う決意をする展開。
いや、これまでにないかたちの
「ラスト数行のどんでん返し」でした。
すみません、投稿を、
物語みたいにして読んでしまって。

どうなったんでしょうねぇ、この恋。
ぼくは、なんとなくですけど、
進展してないような気もするんです。

「やっぱりこの人だな」と思いながら、
行動に移すきっかけもなく、
遠くにぼんやりと
幸せを見るような感じで日々を過ごす、
というのも、それはそれで、
ひとつの幸せだと思うから。
あ、そういうのって、
ちょっと星野源さんの歌みたいですね。

「やっぱりこの人だ!」という感覚は
あたっているような気がするので
Facebookで連絡を取って、
おともだち‥‥ということには
なっているのではないかな?

離れていても考えていることが同じだったり
好物が同じだったりして
「やっぱし、私たち、あうね!」
というようにふたたび意気投合することは
ほんとうにうれしいですよねぇ。
では、また明日も恋歌で。

2014-03-29-SAT

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