『SATURDAY NIGHT』
 BLANKEY JET CITY

 
2000年(平成12年)

私は、嘘をつきました。
 (ゆうこ)

身体中で感じてみたい
どれくらい凄いか 知りたいんだ
生きてるってことを


カタブツで女嫌い(?)っぽい
眼鏡男子にちょっとでも近付きたくて。
彼と初めて会った時、このまま会えなくなるなんて、
一生後悔するなーと思いました。

なぜ、こんなに惹かれるのか
理由はわからなかったけど、
ただその声が私の名前を呼ぶだけで、
本当にドキドキしました。

無理矢理渡したアドレスに、
まぁ気のない返信がきて。
脈絡のない言葉が送られてきたり。
とっても短いメールだったり。

ある日、横文字の言葉が送られてきて??
と思ってネットで調べてみたら、
それはブランキーの曲名でした。
それまで彼らの曲を聞いたこともなかった癖に、
嘘をつきました。
偶然だね、私もファンだよ!って。

彼は一気に心を許してくれた様でした。
食い付き方が半端なくて。珍しく、長文で、嬉しかった。
(女の子がその気になれば、
 偶然は作ってしまえるものなんですね)

言い訳に聞こえるかもしれませんが、
アルバムを沢山聴いてるうちに
本当にブランキーにハマってしまいました。
少し高い彼の声とダブらせて。

その後、一緒にライブ行くようになったり、
映画や、ビリヤード行くようになったり。
せっかちな私は、
二回告白して、三回フラれました。
少し近づくと離れてしまうのは、
親友の元カノだったこともあるかもしれないなぁ。

正論なんて、他でもない私達が作るものなんだって
強く思えたら良かったのかも。
自分の自信のなさが、
彼に伝染したのでしょう。
彼と遊園地に行くまでは絶対死ねない!
とか、大げさだけど本気で思ってたことが幼くて、
懐かしい。

最近すっかり忘れてしまっていた、
忘れられなかった思い出です。

(ゆうこ)

好きな人の好きな音楽や映画や本を
慌てて、ものすごい勢いで、
後づけで吸収していく。
男もやっちゃうと思います、それ。
ただし、男はバレバレかもしれないけど。

そして、不思議と、そういう
ある意味で「不純な」動機で吸収したものが
のちのち自分に大きく影響していったり。
自分にも大いに思い当たるところがあります。

「彼と遊園地に行くまでは絶対死ねない!」
って、すごくいいですね。
子どもっぽいようで、
めちゃくちゃリアルで切実で。

「女の子がその気になれば、
 偶然は作ってしまえるものなんですね」
な、なるほど‥‥そうかもしれません。
片思いのアタックは、いかに口実をつくるか、
すごくだいじですもんねえ。
男はあんがいそういう小さな嘘をこしらえる
度胸がなかったりするんだよなあ。
とんでもない大嘘をついたりするけれど。

友人女子(同世代)に、
何かと博識な人がいるんですけど、
それは歴代の彼氏が、
いろんな方面のオタク的な知識を
持った人だったからだそう。
カーマニアの彼の影響で外車に詳しくなり
(でも本人は免許すら持っていない)
オーディオマニアの彼の影響で
アンプはいまも真空管
(で、アニメ音楽を聴いている)。
ベッドマニア(そういう人がいるのか?)の
彼の影響でイタリア製のベッドに寝ているそうです。
コンピュータしかり、ゲームしかり。
たぶんもともと「ちょっと興味がある」
くらいのところだったのが、
「好き」と「マニアック気質」が掛け算になって
結局彼を追い越すほどの知識を得たのでしょう。
それを「糧になった」と思えるか
「思いだしたくもない」と思うかで
たのしみはちょっと変わってくる気がしますね。
そういえばぼくも音楽にちょこっと詳しくなったのは
そういうところがあったかもしれないな。

BLANKEY JET CITY、
インパクトのあるデビューでしたよね。
イカ天キングになっていったのを見ていました。

彼を知りたくて
好きなものを追いかけていくうちに
我が趣味となり
彼よりくわしく、かつ、上手になってしまい
どうしても彼を下に見てしまうようになり、
それが別れのいつものパターンだ、
という人を知っています。
そのくらい、みんな
彼の興味が好き!
服装も変わってしまったりしますよね。

2回告白して3回フラれるというのは、
告白してないのにフラれたってことかー。
「このまま会えなくなるなんて、
 一生後悔するなー」
と、初めて会ったときに思ったのがすごい。
ひと目ぼれの最高状態ですね。
そんな恋、いいなぁと思う。

「顔」とか、「性格」とか、「尊敬」とか、
「なんだかよくわからない理由」とかで、
人は誰かに恋をするわけです。
そうして好きになったその人と趣味の話をするのって、
生きていく中で
いちばんたのしいことのひとつだとぼくは思います。
音楽でも映画でも読書でも演劇でも、
好きな人と「感想をおしゃべりする」って、
すごく幸せな時間ですよね。
芸術関係の趣味に限らず、
それこそ「ベッドの話」だって「真空管の話」だって、
好きな人との趣味の話は、
いつまでだってずーっと続けられません?
「そうそうそう!」となればハッピーだけど、
「うーーん、わたしはそう思わない」となっても、たのしい。

で、そこから逆算すれば、
「知ってるふりをする」は、
とても有効なアプローチの方法だとわかるわけです。
‥‥胸に手を当てれば‥‥覚えがあります、不純な動機。
でも、動機はどうあれ、
そのことに興味を持てば、おしゃべりは、すぐできる。
「にわか」、上等です。
恋愛そのものだって最初は「にわかに」ですよね?

ブランキーを聴いてたということは、
(ゆうこ)さん、同世代でしょうか。
ぼくも聴いてました。いいですよね、ひりひりしてて。

今回もすてきな投稿をありがとうございました。
また次の土曜日にお会いしましょう!
‥‥ん? 次の土曜日って、
2月22日、にゃーにゃーにゃーだ!
ネコの日に更新だ!
猫っぽい投稿、あったかな‥‥(ごそごそと探す)。

2014-02-19-WED

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