『風になりたい』
 THE BOOM

 
1995年(平成7年)

本当に好きな人が
そばにいりゃ
人間は強ぇんだ
(そんな私はお父さん似)

天国じゃなくても 楽園じゃなくても
あなたに会えた幸せ感じて 風になりたい


先月金婚式のお祝いをしたばかりの祖父が、
おととい本当に風になってしまいました。

その土地じゃ有名なお屋敷の一人娘のお嬢様さんと
駆け落ち同然で故郷を飛び出し、
戦後間もない仙台で夢を追いかけた若い二人。

貧しい生活のなか、難産で産まれた大切な第一子と
大切な家を火事で失っても決して負けずに
前を向き生きた祖父は、祖母と3人の子どもたち、
そして4人の孫に囲まれて82歳の生涯を終えました。

「苦しいことばっかでもよ、
 本当に好きな人がそばにいりゃ人間は強ぇんだ」

ばぁちゃんにはヒミツな、とまだ小さかった私に
内緒話をしてくれた祖父の笑顔は、
今思い返すと私のお母さんによく似ています。

こうやって人生のバトンは続いて行くんですね。
(そんな私はお父さん似)

「風になりたい」は
にぎやかなパーカッションで彩られたサンバの曲。
なんどかライブで聴いたことがあります。
じつはせつない歌詞で、でもとても明るくて。
だからでしょうか、
(そんな私はお父さん似)さんが、
おじいさんを見送る曲として、
また、おじいさんとおばあさんの
ふたりの人生のものがたりのテーマとして、
なんだかふさわしいように思いました。

内緒話を楽しく共有できるっていうのは
「おじいちゃん・おばあちゃんと孫」の
関係ならではですよねえ。
ぼくもずいぶん、おばあちゃんと内緒話したなあ。
もちろん両親にはヒミツです。

祖父母の記憶がほとんどないぼくには、
うらやましい投稿でした。
「ばぁちゃんにはヒミツな」
って、かーっこいいなぁ。

風になったお祖父さんは
THE BOOMの『風になりたい』を
知らなかったかもしれないけれど、
こういう恋歌のありかたも、いいですね。
誰かのことを思い出すとき、
こころのなかでいっしょに聴こえてくる曲。

苦しいときも前を向き続けたお祖父さんは、
明るくって、強くて、
きっととても、サンバな人だったんでしょう。
素敵だなぁ‥‥。

将来もしも自分に孫ができたら、
その孫はぼくに
いったいどんなテーマソングを選んでくれるのだろう?

恋愛を柱とするこの
「恋歌くちずさみ委員会」には、
ときどきこういった「大きな物語」が届き、
それを過去の、いくぶん甘口な
恋愛投稿と並べて掲載しても
ぜんぜん違和感がないのがおもしろいのですが、
思えば、恋愛というのは人生に
まっすぐにつながる道なのですね。

LIFEという大樹の
か細い梢のような恋愛もあれば、
幹そのもののような恋愛もある。

大きな物語を読んだせいか、
なんだかいつもと違う
感想になってしまいました。
そういえば、今回はみんなの感想も
いつもとちょっと違うね。

前にもここに書きましたけどね、
私はシェフ武井さんの、
最後の曲を託されているんです。
もしも私が武井さんより長生きしたら、
お別れにあの曲をかけますからね。
それ、サンバなんですよ。

それは、お別れというよりは
新しい旅立ちへのはなむけ。
そんな気分で送るほうも、送られるほうも、
幸せだろうなぁ。

お孫さんから、脳内サンバで送られる
おじいさんがうらやましいです。
大好きな人とずっといっしょにいて、
いろんなことがあるたびに
自分の選んだ道を悔いずに、誰のせいにもせずに、
歩き続けられたんですね。

私はよく男性の友人に
「奥さんのどういうところが好きですか?」
とこっそり聞くのですが、
彼らはたいてい本音では「顔」と答えます。
いやぁ、やっぱりみんな、
「本当に好きな人」といっしょになってる。
そうでなきゃあね。

もうすぐ年末ですが、
去りゆくこの年もサンバのように
明るく送りたいものです。
冬やすみのおともに
恋歌くちずさみ委員会の本とCDをぜひ
本は泣いたりするかもしれないからこっそり読んで、
CDはみんなで聴いてください。
それではまた、来週おめにかかりましょう。
チャ~チャ~〜〜チャチャチャチャチャチャラ〜。

2013-12-21-SAT

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