『Over the Rainbow』
 Israel Kamakawiwo'ole

 
1993年(平成5年)

彼のいる世界が
こんなところだったらいいな。
  (イチロウ)

And I think to myself
What a wonderful world

そろそろ口にしてもいいかなぁ…と思い、
投稿してみることにします。

バイト先で出会った6歳年上の彼。
通っていた大学のことや付き合っていた彼のこと、
バイトの店内で起こるトラブルや将来のことなど、
いろんなことを相談していて、お兄ちゃん、というより
まるでパパのような存在でした。

バイト終わりの23時くらいに
公園でおしゃべりを始めて、
気がついたら深夜1時すぎて。
「いま何時?」と振り返って
公園の時計を見ようとする彼に
「ダメ!」と目隠しをしたりして。

どんどん距離が縮まり、出会ってから1年半が経ち、
お付き合いがはじまりました。

付き合ってからも、
相変わらず公園でお喋りするためだけに
近所の広い公園を巡ってみたり。
ファミレスで延々しゃべってみたり。
家でダラダラ過ごしてみたり。
当時18歳。
今から考えると、その世界はあまりに狭く、
目の前にあるものが全て。
いつも一生懸命、毎日がキラキラ。
特別な何かがなくても、毎日が特別だった気がします。

彼の事がどんどん大きな存在になっていき、心の中で
「これから先何が起こっても、
 彼だけは私から奪わないで欲しい」
と願っていたのですが。

付き合って7ヶ月半のある日
私の家から帰る途中に事故で亡くなってしまいました。

人って、とても簡単にいなくなってしまうのだなぁ。。

その日から、私の身体の半分くらいが
ごそっと、消えてしまいました。

「あなたがもし死んでしまったら、
 私は必ず追いかけるから」
と言うと
「そんなん嫌やわ!俺の分まで生きてほしいわ!」
と強く言っていた彼。

ずっとずっとつらくて泣いて泣いて、苦しかったけど、
私は自分の分と、彼の分も生きるのだ。
楽しく生きるのだ、とひっそりと心に持ち
仕事も、彼と自分の共通の趣味に関わるものに決め、
ひたすら毎日走りました。

そしてたまには恋愛もしましたが上手くいかず、
「ああ、彼以上の人はもう現れないんかなぁ‥‥」
と思いながら過ごしていたある日。
彼と同じ6歳年上の人に出会い、先月入籍しました。
あれから12年。あの頃の恋愛とは違って、
キラキラまぶしくなんてないしすごく現実的だけれど、
毎日をとても大事にいとしく過ごしています。

彼のこと、今でもよく思い出します。
彼と笑い合った時のことを思い出すと、
身体がじんわり熱くなります。
もう、きっと、私の中には彼が生きているのです。
まだまだ、もっと楽しく、そして幸せに。
生きていきたいと思います。
結婚もしたし。仕事もなんとか頑張ってるし。
もう彼も安心してくれてるかな。

(彼とよく話してた海外ドラマのER、
 主要キャストのグリーン先生が亡くなる直前に
 聞いていた曲です。
 彼のいる世界がこんなところだといいな。)

(イチロウ)

ずうぅっとしゃべってる、という状態以上に
恋人どうしの「あつあつ」ぶりを示すことばは
ないのではないかと私はつねづね思っています。

虹の彼方の、
レモンキャンディのように不安が溶けていく
夢がかなう場所に、
彼がいるといいなぁ。

たいせつな思い出をわけてくださって、
ほんとうにありがとうございます。
突然、いなくなっちゃって
二度と会うことができないともだちのことを
つよく思い出しながら、読みました。
忘れたことはないんだけれど、
そんなふうにつよく思い出すことが少なくなってた。
だから、かなしみとともに、
じんわりしたあたたかさを感じながら、読みました。

イズラエル・カマカヴィヴォオレさんは、
ハワイのミュージシャン。
♪アケボノ・ムサシマル・アンド・コニシキ♪
と歌った曲は知ってました。
(Tengoku Kara Kaminari)
340キロを超える巨漢で、
38歳の若さで亡くなっています。

ご投稿、ありがとうございました。

やっぱり、ね。
読んでいて、
亡くなった人のこと思い出しちゃいます。
うん‥‥。

「いなくなったけど、自分のこころに生きてます」
という言い方をよく耳にします。
そんなわけないでしょう、という考えはわかります。
でも、
ほんとにほんとなんですよね‥‥。
あの感覚はそうとしか言いようがないもの。

もう一回。
ご投稿、ありがとうございました。

全部を読み終えたあと、
もう一度、最初に戻って
「そろそろ口にしてもいいかなぁ‥‥」
という一文を読むと、
あらためて胸にくるものがあります。

文章にすると数行ですけど、
12年という年月がかかったのですね。

「結婚もしたし。仕事もなんとか頑張ってるし。
 もう彼も安心してくれてるかな。」
という最後のフレーズは、
ほんとうに彼に書かれた手紙のようです。
ありがとうございました。

 

2013-05-23-THU

最新のページへ
感想をおくる ツイートする ほぼ日ホームへ
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN