『風に吹かれて』
 オフコース

 
1979年(昭和54年)

わたしは、中学生です。
好きな人がいます。
  (くら)

乱れてる 乱れてる この心
ふりむくたび君が誰かといる

わたしは、中学生です。
わたしは、好きな人がいます。
その人は、丸坊主の優しい少年です。

わたしの友達の女の子には、好きな人がいます。
その人は、わたしの好きな人と同じひとです。

その友達から「わたしが彼を落とす」
って、メールがきて、仲が悪くなっています。

いわゆる三角関係というやつです。

そんなときに、たまたまラジオでこの歌がながれてきて、
ものすごく共感しました。

そして、オフコースが好きになりました。

わたしが好きな人に、オフコースって知ってる?
と聞いてみたら、
うん。知ってる。好きだよ。
と言ってくれて、嬉しくなりました。

たったこれだけのことではありますが、
わたしは、その人にもっと恋をしました。

実は、いまも片想い中です。

片想いの三角関係って、難しいですね。
でも、頑張ります。
(くら)

おそらく最年少の投稿者ではないでしょうか。
中学生です、という女子からのおたより。

すばらしいことだと思いました。
こんなメールをいただけることが、すごくうれしいです。
いままさに生まれている、甘ずっぱいお話。

(くら)さん、
勇気を出してメールを送ってくださって、
ありがとうございました。
片想い‥‥つらいですよね。
三角関係も‥‥むつかしいです。
でも、丸坊主の、その優しい彼のことを、
どんどん、どんどん好きになっていいとぼくは思います。
「オフコースを好き」だなんて、センスのいい彼ですね。
いいなぁ‥‥がんばれ!!

「彼が好きになるのはわたし?
 それとも、あの子?」
というレースを友達は仕掛けてきたんだけれど、
(くら)さんは、あまり動じていないように思える。
(くら)さんの気持ちは、まっすぐに
「丸坊主の優しい少年」に注がれていて、
その友達を経由していない。
けれど、友達のほうは、
(くら)さんをライバル視することで、
光りが鏡に当たって角度を変えるように、
気持ちの角度がずれちゃってて、
たぶん、まっすぐには届かないんだと思う。
「あの子よりわたしのほうが」
なんて口説いちゃうタイプじゃないかなあ。
あくまでも想像、
そして(くら)さんの味方としての
発言なんですけれど。

秘密を共有することは、
恋の進展には欠かせない!
それが、オフコースの曲、
しかもたまたまラジオで流れてきた曲!
(いまどきの中学生もラジオ聞くんだ!
 というのにもちょっと驚いたんだけど。)
さらに、彼もオフコースを知っている。
すごいよ、すごいよ。
そのままこっそり
「二人にしかわからないこと」を
増やしていくといいよ!

中学生のとき、相手のことをこんなにも見つめて
真剣になる恋をしていただろうか。
‥‥きっとしていたのだろうなぁ。
恋はそのときどきに切実だから。

中学までの時期って、私も友達と
好きな人は誰か、言い合ったりしていました。
友達の告白に同伴したり
「あの子のことどう思う?」と聞きにいく役をしたり。
それらすべてについて
「なんだかなぁ?」と思ってました。
きっとみんなもそう思ってたんじゃないかな。
いまの中学生もそうなんでしょうか?

「落とす」ことよりもすばらしいのは、
好きな人とふたりで同じほうを向いて
同じ言葉をつかって、同じリズムで歩いて、
同じエネルギーで話をすること、ですよね。
それは、投稿にあるとおり
「たったこれだけのことではありますが、
 わたしは、その人にもっと恋をしました」
という出来事を重ねていくことになるのです。
いいぞ。いいぞいいぞ。
自分の、相手を好きな気持ちに
感動しちゃうことだってありますからね!
そのまま、すばらしい恋になりますように。

中学の英語のテストで
「of course」って答えなきゃいけないところを
「off course」と書いて×になり、
「off courseはバンドです」みたいなことを
先生が答案に書き添えていたのを思い出しました。

中学時代は、
友だちと過ごすことがほんとうにたのしくて、
真剣な恋をしたというあまり記憶がありません。
どっちかというと、友だちの恋の話を
聞いてることのほうが多かったかなぁ。

それはさておき、
いまぼくがつき合いのある十代の頃の友だちは、
ほぼ、「中学のときの友だち」です。
糸井重里も、
「その人が中学のときに
 どういうやつだったかを想像すると、
 その人がわかる」と言っています。
中学校のときの自分とか、
中学校のときの友だちとか、
中学校のときの好きな人って、
たぶん、一生を通して、心の根っこのところに
留まり続けるんじゃないかなと思います。

だから、きっと、その彼のことも。

いま、うまく立ちゆかない状態にあるとしても、
あなたのいる時代や季節全体が
きらきらとしていて、うらやましいです。

かなうにしろかなわないにしろ、
彼の存在をどうぞ大切に。
告げるにしろ告げないにしろ、
その思いをどうぞ大切に。

さて、年齢を問わず、
みなさまの思い出を募集しています。
つぎの更新は水曜日です。

2013-03-16-SAT

最新のページへ
感想をおくる ツイートする ほぼ日ホームへ
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN