『激しい雨が』
 THE MODS

1983年(昭和58年)

私はずーっと
好きでいるから
うまくいかなかったら
戻って欲しい‥‥。
 (ちーずけーき)

激しい雨が 俺を洗う
激しい風が 俺を運ぶ
激しいビートが 俺に叫ぶ
何もかも 変り始める

11月3日になるとこの歌が必ず頭の中で流れます。

高校卒業して上京し就職した会社で
その人と出会いました。
相手は同期入社した大卒で
優しくてとてもスマートな大人の人でした。
デートに行くにも銀座に行ったり
立ち寄るお店もブランド物のお店だったり
休憩では銀座ウエストのチーズケーキ食べたり。
田舎から出てきた私はついていくのがやっとで
早く彼に似合う女性になりたいと
たくさん勉強しました。

2年ほどお付き合いをして
お互い結婚を意識するようになって来たとき
突然彼の方から
私より好きな人が出来たので別れて欲しい
と言われました。
それが11月3日の出来事です。

私には突然すぎてまったく受け入れられなくて
泣いてすがりました。
別れたくない、と言っても、
もう向こうの方が好きだから別れると言われ
2時間ほどそんな会話が続いた後、
仕方なく別れることにしました。
その時TVのCMで流れていたのがこの曲です。
別れる間際に私は彼に、
私はずーっとあなたのことが好きでいるから
もしその人とうまくいかなかったら
戻ってきて欲しいと伝えて泣きながら別れました。

別れた後も
こんなに泣けるんだと思うくらい泣いていました。
もちろん同じ会社にいるので
彼と顔を合わせることもあったけど
ショックでご飯が食べられなくなり
5Kgやせたかな?

そんなこんなで立ち直りつつあった1月頃
彼から電話があり、
その好きだった彼女と付き合ってみたけど
実際の彼女は想像してたような人ではなくて
やっぱりおまえが忘れられないから
断れるのを承知で電話してみた、と言ってきました。
私はもちろんずーっと好きで待っていたから
また元のようになりたい、と伝え
再び付き合いだしたんです。
本当にうれしくて
前よりも彼のことが好きで好きでたまらない、
このまま結婚したい! と思っていました。
実際次のお正月にはお互いの家に行って挨拶しようか、
となっていたんです。

ところが翌年の11月3日が訪れた時
電気のスイッチが切れたかのように
彼への思いが
パチンと切れてしまいました。

なんで私はあんなに悲しい思いをさせられた人と
結婚しようとしているんだろう?

本当に目の前のシャッターが閉じたように
彼への思いがなんにも無くなってしまったんです。
自分でもなにが起こったのかわからないくらい
彼が頭の中から消えてなくなりました。

彼を見るのも嫌になり
とにかく電話にも出ない、
会社で会っても忙しいからといって逃げる。
またタイミングよく
弟が大学の寮を出て一緒に住みたいと言い出したので
それを、新しい彼氏が出来て一緒に住んでいるように
思わせておきました。
とにかく別れようとも何ともいわないで
徹底的に無視するという実に嫌な手段を使った私です。

その後1年ほどして
彼は会社を辞めて実家に帰っていきましたが
もちろんなんにも話しませんでした。

あの頃の自分が女々しくて大っ嫌いで
この曲はあれから聴いてないのに
なぜか毎年11月3日になると
この曲が必ず頭の中を流れます。

(ちーずけーき)

不思議ですね、11月3日。
なにか、日が持つ魔力みたいなものが
あるのかもしれませんね。
辛かった記憶をその日が封印していたのかも。

でもね、あるある。
自分でも説明がつかないほど
「あれ?」というカンジで
あんなにも好きだった人が
消えてなくなってしまうこと。ありますよ。

それから、反対意見もあるでしょうけども、
悲しませる人と、いっしょにいることないです。
スカーッとふってあげましょう。
やさしい人がいちばんだとワシャ思う。

恋愛スイッチ! ある、ある! あるよ!
自分でオンオフできない、謎のスイッチ。
突然入ったかと思えば消し方が分からず、
いったん消えると二度と点かない、あのスイッチ。
点く時はともかく、
(ちーずけーき)さんのように
「切れた瞬間」はびっくりしちゃいますよね。
すっごく冷静になってるから、
「あれ?」とは思うけど、慌てることもなく、
ただただ「処理しとかないと」みたいな、
ひじょうにクールな気分になる。
その様子に相手はまた慌てるから
なおさらややこしいことになったりして‥‥。
以上、だいぶ若いときの思い出ですけどねー。

ありました、ありました。
自分がそうなったこともあるし、
逆に「急に冷められる」ということもありました。
それはもう、仕方のないこと。
説明なんかは誰にもできないこと。
(ちーずけーき)さんの
「11月3日のスイッチ」のお話に、
ある種のリアルを感じます。

ところで、
THE MODSはぼくの青春です。
東京に出てきてライブハウスで出会った
とんでもなくかっこいいバンド。
目黒の鹿鳴館、通ったなぁ‥‥。
この曲はたしか、
メジャーでブレイクした1曲目と記憶しています。
カセットテープのCMにメンバーが出ていました。

そうですか‥‥あの頃‥‥
(ちーずけーき)さんには
そういうことがあったんですね。
一方ぼくはあの頃‥‥ああ、あんなことがあったなぁ。
このコンテンツで、
こういう同時性について思いを馳せるのが
ひとつの自分流のたのしみになっています。

途中の、好きになったり、ふられかけたり、
よりが戻ったり、みたいなことは、
この「恋歌くちずさみ委員会」では
まったくめずらしいことではないのですが、
パチンと恋のスイッチが切れた瞬間が
ここまで特定されているというのを
興味深く感じました。

しかし、オンオフできずに
消えたら消えっぱなしだとすると、
そりゃぁ、スイッチじゃないね。
なに? ヒューズ? 古い?

『激しい雨が』、なつかしいなぁ。
このあとの『バラッドをお前に』とか、
持ってないけど、歌える歌たちだなぁ。

よい思い出も、ほろ苦い思い出も、
恋歌を添えてお送りください。
それでは、また次回。

2013-01-26-SAT

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