『キラキラ』
 aiko

 
2005年(平成17年)

より離れ離れになり、
お互いに遠く知らない街へ
行くことになりました。
 (ひな)

遠い遠い見たことのない 
知らない街に行ったとしても
あたしはこうして
ずっとここを離れずにいるよ

大学時代、京都で出会った彼は
同じ大学の同じ放送部の1つ上の先輩でした。
音声を担当していた彼とディレクターをしていた私は、
一緒に活動をしながら
惹かれあい付き合うことになりました。
付き合って1年目の9月、
彼は希望していた旅行代理店に採用が決まりました。
そして勤務地発表の日、
彼の家で一緒に採用先から届いた封筒を開けました。
そこに書かれた「福山支店」の文字を見て、
地理に疎い私は「どこ?」と彼に聞きました。
「広島県だね」と彼は言いました。
広島県・・・行ったことのない私には
その場所がとても遠くに感じられました。
そのあと、私たちは口数少ないまま河原町へ出かけ、
三条大橋の脇にあるスタバでコーヒーを買い、
鴨川の河川敷に並んで座りました。
広島県はここからどのくらいかかるのか、
彼とはこのまま付き合っていけるのか、
もしかしたら別れを切り出されるんじゃないか…
そんなことが頭の中をぐるぐる回っていました。
1人ぐるぐると考えている私の隣で、
彼ははっきりと言いました。
「これからの人生にお前が必要です。
 だから、これからもよろしく」
その瞬間、aikoさんのキラキラが頭をよぎりました。

“遠い遠い見たことのない 知らない街に行ったとしても
 あたしはこうしてずっとここを離れずにいるよ”

その1年後、彼はその仕事を辞めて地元の九州に戻り、
私も地元の長野県に就職がきまりました。
より離れ離れになり、
お互いに遠く知らない街へ行くことになりました。
毎晩11時の電話で、今日の出来事を話して笑いあって。
このままでいいのかと想い悩む夜をいくつも越えて。
そんな日々を繰り返して、今年で4年。
あの鴨川での一番最初のプロポーズ以来、
aikoさんのキラキラに励まされて続いた恋は、
「これからの人生にお前が必要です。結婚してください」
と、嵐山の渡月橋のたもとで彼の言葉で、
また新しく始まりました。

(ひな)

ひゅーひゅー、ですねー。
なんて気持ちのいいエンディング。
新年の雰囲気の中でお届けしたい投稿でした。

「これからの人生にお前が必要です。」

って、いいなぁ。
乱暴さと優しさがほどよくブレンドすることで、
すばらしく強い愛情表現になっていると思いました。

遠距離恋愛中のあなた、
ぜひこの投稿をこころのささえに!

何度か訪ねた京都の風景が、
キラキラと、冬の陽射しに輝くみたいに
よみがえってきました。
三条大橋の脇にあるスタバ。
鴨川の河川敷。
嵐山の渡月橋のたもと。
京都の恋人たちにはおなじみの景色のなかで、
やっぱりこんなふうなすてきなドラマが
うまれているんですね。

「これからの人生にお前が必要です」
ほんと、なんてすてきなことばなんだろう!
遠距離だからこそ、ことばが大事!
伝えるべきことはちゃんと伝えなくちゃわからないし、
おたがいが不安。
(ひな)さん、そして、(ひな)さんの彼、
おめでとうございますー!
2013年もすてきな年になりますように!

ああ、ああ、どうなるかと思った。
よかった、よかった。

いや、そういう見方が
いいのかどうかわかりませんけどね、
この「恋歌くちずさみ委員会」に
寄せられる投稿のなかで、
「遠距離恋愛」ものというのは
悲しい結果になることがほとんどなんですよ。
(それが「悲しい」というだけのもの
 とらえられないことも多いのですが)
とりわけ、卒業や就職を機に、
ふたりが離ればなれになるときは。

そういうわけで、
個人的にはある種の覚悟をしながら
投稿を読み進めたのですが、
いやー、よかった、よかった。
「恋歌くちずさみ委員会」名物、
ラスト3行でのどんでん返し。
堪能させていただきました!

「どんでん」は何でも好きですけれども
この「どんでん」は、いい!

わたくし、いまお正月で実家に帰っておりまーす。
渡月橋の近くです。
月渡る橋ですよ。いいですよね、渡月橋。

学生から就職への4年間って
決して短くないです。
お互いいろいろ変わっただろうし
あたらしい経験もつんだことでしょう。
かくいうわたくし‥‥遠距離恋愛は苦手です。
環境が変わったりすることも
ときに恋愛にきびしい影響を。
でも、おたがいに手をつなごうと
働きかけることが大事なんですよね。

とにかく話すこと。
いっしょにいようとすること。
お互いを尊重したり
たまには思いっきりわがままを言う。
そうです、離れていても、いっしょにいられます。

おふたり、ほんとうに、おめでとうございます!

さあ、
「あたらしい年のふつうの日々」が
はじまろうとしています。
今年も変わらず恋歌は水曜土曜。
次は水曜にお会いいたしましょう。

2013-01-05-SAT

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