『夏の終りのハーモニー』
 井上陽水・安全地帯

 
1986年(昭和61年)

のびやかな歌詞が
心だけを解放し、
みんなが少しずつ傷ついた。
  (投稿者・エム)

真夏の夢 あこがれを 
いつまでも ずっと 忘れずに


好きで好きでしかたがなかったA君と
つきあっていたとき、
A君の親友・B君とキスをした。

A君は言った。
「Bのこと好きでしょ。心が揺れてるでしょ」

「揺れてはいないけど、好きかもしれない。
 どうしよう」

「キスしたでしょ」

「うん、した。ごめん」

A君とは結局、友人に戻ることにした。

そのあとB君がプロポーズしてくれた。
私は断った。

A君が言った。
「Bなら間違いない。なんで断んの」

「友情6割、恋愛感情4割だと気づいたから」

「恋愛感情はいつか消える。
 最後に残るのは友情でしょうが」

「そんなのつまらない」

「夏の終りのハーモニー」は、
B君とよくカラオケでデュエットした曲だ。
この曲を歌うとき、
いつも心の中にA君がいた。

恋愛感情100%だったA君と、
いつも味方してくれたB君。

のびやかな歌詞が心だけを解放し、
みんなが少しずつ傷ついた。

ふたりとも父親になり、今ではいい友人である。
私の心の中でだけ、かもしれないけれど。

ときたま、さみしくなると
「とりあえずひとりでがんばってまっせ」
と語りかけている。

A君に? B君に? 違う。自分にだ。

(エム)

うわわわわ、
鼻血で倒れないようにしないと。
親友と‥‥うわわわ、
なんてモテモテなんだ。

登場人物、みんなかっこいいですね。
特にA君。すごいねぇ、
「Bなら間違いない」なんてさ。
あぁぁぁ、倒れる。

こんなはっきりした三角関係って
経験したことないから、憧れます。
渦中にいる人たちは
とことん苦しいと思いますので
無責任な発言ですけれどもねー。
なきゃないほうがいいんですけれどもねー。
ほら、人生一回きりって言いますからねー。

A君もB君も、いいやつじゃんー!
そして(エム)さん、
もてたんですね、とも言えるし、
悪女ともいえるし‥‥。
どんだけ魅力的なんですかっ!

「恋愛感情はいつか消える。
 最後に残るのは友情でしょうが」
は、名言!
「友情6割、恋愛感情4割」は
生活をともにし始めるのに最高じゃない?
と、ぼくも思うんだけど、
いまそんなことを言ってもしょうがないですね。

「夏の終わりのハーモニー」は
井上陽水さんらしい、
ちょっとふしぎなところのある歌詞。
「昨日の争う声が
 二人だけの恋のハーモニー」
というところが、
いちばんわかりにくくて好きです。

まるで『タッチ』のような
三角関係だなあ、と思いつつ、
細かいところに着目して恐縮なんですが、
「キスしたでしょ」って
A君に言われたっていうことは、
ふつうに考えると
B君がそれをA君に話したんだよね。

どういう理由で
どういう切り出し方で
B君はA君にそれを言ったんだろう。
そしてA君はどう反応したんだろう。

その後プロポーズに至るということは、
3人とも、それなりの年齢だったんだよね。
不思議な関係だなあ。

でも、人生のある時期にだけ、
ぽっかりと、そういう不思議な関係が
夢のように生まれるということは
あるのかもしれない。
かならず、維持はできないのだけれど。

三角関係を経て数年後、
ヒロインだけがひとりでいるというのも
ちょっと不思議なエンディング。
そのひとりが凜としているのがいいですね。

恋愛感情はいつか消える。
 最後に残るのは友情でしょうが」
そのA君の意見に、ぼくも一票。
もちろんそれは、いまになって言えることですが。
そしてすこしだけ、
部分的に言い換えを許してもらえるならば、
恋愛感情は消えるのではなく、
「変わる」のだと思います。
ほかの、なにかいい感じのものに。
‥‥なーんて、生意気を失礼しました。

ともあれ、
ゴールデンウイークの
「恋歌くちずさみ委員会」連続更新スペシャルは、
(エム)さんの、
「A君に? B君に? 違う。自分にだ。」
という名ゼリフでビシッと締まりました。
ありがとうございます。

次回からは通常営業、
水曜と土曜の更新に戻ります。
ひきつづき、投稿をお待ちしていますね!

それでは、また。
9日の水曜日にお会いしましょう!

 

2012-05-06-SUN

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