いつもくちびるに、季節の風とラブソングを。
こんにちは、恋歌くちずさみ委員会です。

あまずっぱい企画は、とっても好評!
たーくさんの、おたよりがとどいています。
みなさんの、
たいせつなたいせつな思い出の「恋歌」、
どんどん紹介していきますね。
なのでどしどし、おたより(メール)くださーい!

私達の選択は間違ってなかったのでしょう。
でも、あそこで一歩踏み出せたら‥‥。
(投稿者・先生)

『外は白い雪の夜』
 歌/吉田拓郎

 1978年(昭和53年)
 アルバム
 『ローリング30』収録曲

My恋歌ポイント

 席を立つのは貴方から 後ろ姿を見たいから
 いつもあなたの影を踏み 歩いた癖が 直らない

50代(初め)ですが、いいですか?

20代後半から、自分には純愛でしたが、
俗に言う不倫をしていました。

今夜で終わりかもしれない、
会う度そう思いました。
出会いがもっと早ければ、
いっそ出会わなければ、
こんなに苦しい思いをしなかったのにとも。

時代も違い、子供や仕事の事を考えると、
私達はやり直しを選択できませんでした。

彼が「結婚する」と聞き、
好きだったこの曲の歌詞がリアルに。

今、お互いそれぞれの家庭の中で
それなりに暮らしています。
多分、私達の選択は間違っていなかったのでしょう。
でも、あそこで一歩踏み出せたら、
と思う自分もいます。
結婚後に大好きな人に出会ってしまった事、
密かに会った日々。

老後を考える歳になり、
甘く辛い思い出は無いより良かったと思えます。
程々優しい夫には悪いのですが、
彼との時間は私の「夢」でした。

いい歌。これはほんとうにいい歌。
どしんとヘビーな別れの場面を、
吉田拓郎さんが絞り出すように歌うんです。
拓郎ファンとは言えないぼくでしたが、
この曲にはしびれました。
男女のセリフが交互にかわされる歌詞は、
『木綿のハンカチーフ』と
似ているパターンと言えるかもしれません。
‥‥個人的にそういう、
男女のセリフ交互型に弱いのかなぁ。
視点が変わる感じが、たまらないんですよ。
なんというかその‥‥
「思いやり」が、すれちがっちゃう切なさが。

(先生)さんの投稿、すばらしいです。
とくに最後の4行。
このコンテンツを
やってよかったと思える4行です。

別れのときの
『賢者のおくりもの』みたいですね。
拓郎さんの歌の表現力が
歌詞の行間をうめつくしている歌。

恋に落ちたりするものではないとしても、
運命的な出会いというのはありますね。
ここから先にまだ
そういう出会いがあるのかも、と思います。

そういう思い出も、これからの出会いも、
あるほうがいいと私も思います。

投稿を読み、歌詞を探して読んで、
息がつまりました。
「甘く辛い思い出は無いより良かった」
‥‥染みました。

やっぱりやめたほうがいいと思う、
ということばは、
そのときは(聞いても、言っても)
体温が一瞬零度になりそうな
気分になりますね。
そう決めた以上は、
それは前向きな決断だと思いたい。

これから先、あるかなあ。
こればっかりは、わからないなあ。

このコーナーでしばしば感じる
不思議な感覚のひとつが、
「絵空事のように感じていた歌の世界が
 ひょいと自分に隣接する」
というようなことです。

歌にうたわれる世界は、
自分がどれだけその歌を好きであっても、
あるいはそこで歌われていることが
どれだけ現実的なテーマであっても、
やはり、どこか絵空事で、おとぎ話で、
それこそ「歌じゃないんだから」みたいな
「つくられた世界」だったりします。

ところが、その歌と重なる経験をした人が
単なる事実として投稿をおくってくれると、
それが媒介のようになって、
歌がすっと現実の奥行きを持つんです。

「老後を考える歳になり、
 甘く辛い思い出は
 無いより良かったと思えます。
 程々優しい夫には悪いのですが、
 彼との時間は私の『夢』でした。」

こんなこと、
歌の世界にだけあるものだと思ってたなぁ。

2012-01-07-SAT

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