いつもくちびるに、季節の風とラブソングを。
こんにちは、恋歌くちずさみ委員会です。

あまずっぱい企画は、とっても好評!
たーくさんの、おたよりがとどいています。
みなさんの、
たいせつなたいせつな思い出の「恋歌」、
どんどん紹介していきますね。
なのでどしどし、おたより(メール)くださーい!

難問だったあのフレーズは
いまも頭の中を流れます。。
(投稿者・u)

『虹とスニーカーの頃』
 歌/チューリップ

 1979年(昭和54年)

My恋歌ポイント

 わがままは 男の罪 
 それを許さないのは 女の罪

私の恋歌は『虹とスニーカーの頃』です。

思春期まっただ中の
子どもだった私には
「わがままは 男の罪
 それを許さないのは 女の罪」
というフレーズがひどく難問で、
わがままってなんだろう?
男はみんなわがままなのかな?
○○ちゃんが先生に怒られる
“わがまま”とは違うのかな?
と、この曲を耳にするたびに
考えていました。

そのときには
自分はまだ子どもで、
大人になりかけるころには恋人ができて、
わがままを言ったり許さなかったりして、
もっと大人になったら結婚して、
そういうことを
懐かしく思い出したりするんだ、
と、自分なりに結論を出しました。

それから月日が経ち、
はじめて人を好きになったときもその後も、
傷つけたり傷つけられたりしたときには
「わがままは 男の罪
 それを許さないのは 女の罪」
というフレーズが頭の中をながれます。

あの頃考えていた大人の年齢は、
とうに通り越したはずなんですが‥‥
いまだにわがままを言ったり
許せなかったりして
人を傷つけてしまう私は、
まだ大人になりかけなんでしょうか。

くちずさみ委員会をきっかけに
チューリップを聴くようになった私でも
この曲は知っていました。
いきなり多重ボーカルからはじまる
衝撃的な歌、衝撃的な詞!
かっこいいタイトル!
あのスニーカーはもう捨てたかい!

もう、自分も充分大人ですし、
「わがまま」だの「許す」だのは
乗り越えたと思いこもうとしているのですが
いや‥‥決してそうじゃありません。
乗り越えたと思っていたものが
以前と全く同じ顔をして重くのしかかる、
それが人間関係でございましょう。

若い頃の自分が思い描いていた大人に、
いつになったらなれるのやら‥‥‥。

ほんとにねえ。
いつになったら思い描いていた大人に?
ということをぼんやり考えているうちに
来年50だよ!
思うに、
ずーっとこのままなんですよね。
人間関係(含む恋)に悩んだり浮かれたり、
あまり上手にできずにジタバタっていうのは、
ずーっと同じ、このままなのでしょう、もう。
中学・高校・大学のころと、
思い返せば基本はなーんにも
変わってないかもしれないです。
みなさんも、そうじゃありません?
チューリップを聴いてキュンとなる感じは
あのころとおんなじだものなぁ。

大人になったらわかるのかと思いつつ、
歳を重ねても経験を積んでも
ちっとも真理がわからない。
けれども、なんとなく、じわじわと、
そのムードだけは共感できるようになる。
そういう魔法のフレーズが
よい歌のなかにはしばしば登場して、
前にも書いたかと思いますが、
ぼくはたいへんそれが好きなのです。

「わがままは 男の罪
 それを許さないのは 女の罪」

「君を抱いていいの?
 好きになってもいいの?」

「私を許さないで
 憎んでも覚えてて」

「君は僕を忘れるから
 そうすればもうすぐに君に会いに行ける」

気持ちよく口ずさみながら、
なんとなく、そういうことかなあ、
違うかなあ、どういうことかなあ、
などとぼんやり思うのは
たいへん幸せな瞬間ですよね。

大人かあ。
「ひとのしあわせを読む仕事。」に、
糸井さんと日笠雅水さんの、
こんな会話があるよ。

糸井 大人のようにふるまうことが
   できるようになったことを、
   大人っていうんだな。

日笠 ‥‥て、みんな思ってるみたいだけど、
   ほんとうの大人に会ったことはないですよ。
   人間は大人にならないままですよ。

糸井 はい‥‥そうだと思います。そうだよなあ。

ぼくも45歳だけど、
いまだによくわかんないままです。
わかんなくって、立ち止まって、
いろんな歌を、聞き返すわけです。
それは「答え」じゃなくて
(u)さんもそうだと思うんだけど
「問い」を、聞きつづけている感じです。

あらら、なんだか、
いつになく真面目な感じの回になった!
また次回〜!
恋歌口ずさみ委員会は、
毎週水曜日と土曜日の更新でーす。

2011-10-05-WED

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