前編では、スソさんが「古墳部」なる集団活動を
行うようになるまでの経緯をうかがいました。
すでにかなり濃い活動をされている「古墳部」ですが、
「ひとりで古墳をみることも、してみたい」
とスソさんはおっしゃいます。
集団ではなく、なぜ単独でも活動したいのでしょう?

※おせっかいですが簡単な用語解説もしてみました。  
 オレンジ色の文字をクリックしてみてくださいね。


ほぼ日
ひとりでも行きたいと思ったのは、なぜでしょう。
大勢で出かけるほうがたのしそうですが。
スソ
いや、まあ、それはそうなんですけど、
ええと、どう説明したらいいのか‥‥
あの‥‥古墳って「いい場所」にあるんですよ。
ほぼ日
いい場所。
スソ
旧石器時代から弥生時代まで
ずっと栄えてた場所は、
やっぱり古墳時代も栄えてるんですね。
栄える場所はだいたい条件が決まってるんです。
ほぼ日
どういう条件なんでしょう。
スソ
川があって、湧き水があって、小高い丘で、
そこに立つと、とっても気持ちのいい空気が
ひゅーっと吹いていて‥‥。
そういう場所には、だいたい古墳があるんです。
ほぼ日
へえ〜。
スソ
古墳部のみんなで車に乗って移動しているときも、
近づいてくるとね、わかるんですよ。
「ああ、そろそろきたね」
ほぼ日
すごい。
古墳を感じるんですか。
スソ
景色とか、雰囲気とかで、わかるんです、
このへんだなあっていうのが。
ほぼ日
はああ〜。
スソ
神社が目印になることもあります。
いい場所だから、神聖な土地として
守られることも多くなりますよね。
そういうエリアには神社ができるんです。
だから神社がある場所には、
古墳がある確率が高いと私は思ってます。
ほぼ日
なるほどぉ。
スソ
そしてですね、
ほぼ日
はい。
スソ
そういう、いい場所っていうのは、
食べものが今でもおいしいんです。
ほぼ日
ああ‥‥
食べものの産地としても一等地。
スソ
お米とか野菜が、ほんとにおいしくて。
食べものがおいしいっていうのは
すごくポイントが高いですよね。
ほぼ日
高いですね。
スソ
ですから「古墳部」には、
「食事をたのしみにする部員」も
徐々に参加するようになってきまして。
ほぼ日
あー(笑)。
スソ
温泉にこだわる部員もあらわれたりして。
ほぼ日
「古墳部」ではなくて、
「おいしいものと温泉のツアー」みたいに(笑)。
スソ
いやいや、さすがにそこまでではないです(笑)。
それなりに古墳好きな人たちなので、
旅のいちばんの目的は、ちゃんと古墳なんです。
大勢で出かけるのは、やっぱりたのしいですし。
ですから「古墳部」の活動は、
これからも大切に続けたいと思っています。
ほぼ日
となると、ひとりでもやりたい理由は?
スソ
私は、見たいものがたくさんあるんですよ。
じっくり細かく見たいものもある。
でも団体で行動にはどうしても制約があるので。
ほぼ日
なるほど、わかります。
スソ
ほんとうは朝いちで古墳に行きたいけど、
みんなが夜型だったりすると、
10時からにしましょうか、みたいな。
ほぼ日
遠慮が。
スソ
ひとりであれば、
自分のスケジュールで動けますからね。
資料館に行っても、
ずーっと見ていられるじゃないですか。

ほぼ日
とにかくもう、思う存分、見たいと(笑)。
そのための、ひとり古墳部なわけですね。
スソ
そうですね。
ほぼ日
やっぱり、「古墳好き度」がすごいです(笑)。
‥‥あらためて、この、
スソさんをそこまで本気にさせる
古墳の魅力というのはどのあたりなのでしょう?
スソ
うーん‥‥
「わからない」ということかもしれません。
有名な古墳であっても、
すべてが調査されて解明されてはいないので。
だから、私みたいな素人でも
いろいろ想像を膨らませることが
許されていると思うんです。
その想像がたのしいんですね、ドキドキします。
ほぼ日
そうですか。
スソ
その場所に行ってみないと
エリアの感覚ってやっぱりすごく分かりにくくて、
それを感じるのもたのしいです。
どんな地形にあって、どんな風が吹いていて、
みたいなことまでは
現代日本地図では読み取れないので。
ほぼ日
Googleマップでもわからないことを。
スソ
現場で感じられるんです。
あとは、ものをつくる仕事をしてるので、
太古の造形物、出土品ですよね、
これを見るのは大きなたのしみのひとつです。
埴輪、いい感じなんですよ。
ほぼ日
そういうたのしみを
これからはときおり、ひとりで。
スソ
月に1回は行けるといいですよね。
ほぼ日
行く場所のことについては、
いつもどうやって調べているのですか?
スソ
最初は、書籍であたりをつけるのが効率的ですね。
ほぼ日
まずは、本で。
インターネットはどうでしょう?
スソ
個人のかたの旅行記などは主観があるので、
市の公式HPが、たしかだと思います。
あとは電話ですね。市役所の教育委員会とか、
そういうところにかけるといいんです。
「史跡とか古墳を東京から見にいきたいんですけど
 どこに行くのがいいでしょう?」
ほぼ日
聞いてしまう。
スソ
「学芸員の人はいらっしゃいますか?」
っていうのも聞くようにしてます。
学芸員の人は、どこもすごく親切なので。
ええと、それから、
出土品の本物を見たい場合は、
博物館よりは「埋蔵センター」がいいですね。
ほぼ日
‥‥その、埋蔵センターというのは?
スソ
博物館はけっこうレプリカが多いんですよ、
本物は各県の埋蔵センターに保管されるんです。
資料公開しているセンターもあるので、
調べてみるといいですよ。
神奈川県の埋蔵センターは、すごい頑張ってます。
ほぼ日
神奈川の埋蔵センターは頑張っている(笑)。
スソ
すみません(笑)、
つい深く話してしまいます。
‥‥気をつけないと。
こういうことをそのまま旅行として
簡単にオススメしてはいけませんよね。
私はすごく好きなのでやってますけど、
「なにがいいのかわからない」というかたも
たくさんいらっしゃると思いますので‥‥。
ほぼ日
まずは、スソさんがひとりで古墳を訪ねる様子を
ここでご覧いただいて、
もし興味をもたれたらどうぞ、ということですね。
スソ
はい、あたたかい目でみていただけると(笑)。
まずは近場を歩いてきました。
東京にも、意外とたくさん古墳があるんです。
ほぼ日
興味津々ですが、この先はスソさんのレポートを
たのしみにしたほうがよさそうですね。
スソ
はい、ぜひ。
あたたかい目でよろしくお願いします(笑)。

(プロローグは終了。
 本編の第1回へとつづきます)

2008-10-31-FRI


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タイトル画・イラスト/スソアキコ