Drama
「小林薫『俺はシブイか?!』対談。

【その6・ドラマはどこにあるか】

(※生中継ライブのごく一部をお送りしています)


小林 ドラマがないのにドラマをやろうとしても、
ひきつってしまうと思います。
椅子の下に時空がひろがるとかいうのは、
もう、辛い。
それなら「ドラマがない」というところから
スタートすべきだと思うんです。
何かを捻出しなければいけないんじゃなくて、
しゃべっているなかに「もうドラマがある」と。

「今、殺意持ったろ?」
ということなんですよ。そこにはドラマがある。
こないだの音羽の殺人事件にしても、
殺人事件前日や、前々日はどうなのかと。
岩松さんの考えかたで言うと、
当日だけにドラマがあるというわけがない。
その日だけを突出して考えてしまうことで、
もっとほかの日にも複雑に抱えていたはずの、
いろいろなものが、考えられなくなってしまう。
ほんとはいっぱいあって、
それを見るほうが豊かだと思います。
糸井 そうだよね。
じゃないと「刺して殺して」というのだけが
ドラマになってしまうから。
小林 岩松さん場合は、
劇の場合でも、きいているやつにこそ
ドラマがあるっていう考えですから。
糸井 だから岩松さんものは、
見ていて油断できないんですよ。
どういうことになっているかを、
全部見てみたくなるから、
気をつけて、広角で舞台を見ているよね。
小林 それがほんとだと思うんですよ。
演劇って、しゃべっていない役者も、
ただ無防備で突っ立っているものではないし。
しゃべっている間に、
こっちでも何かがあるという残し方もある。

・・・ところで、みんなアクセスしてるかな?
これ、飽きてないかなあ?(笑)
---- メール、たくさん来てますよ。
小林さんは競馬の話をしないのですか、とか。
小林 競馬をやっているのは、ポーズだね。
何て言うか・・・やくざでいたい?みたいな。
ここのくだらないところで使う5万も
貴重なものを買う5万も、
等価なんだと意識したいんです。
普段はそうやって意識していないんだよ。
ほら、ぼくも、向上心あるひとだから。
糸井 その言葉の使いかたがわからない。
何が向上心だよ(笑)。
向上心をおさえるために、馬券を買う
・・・わかりました。
小林 いいものを買いたいというのが、ありますし、
いい女・・・これは、もういいや。
糸井 もう、もて終わった?
小林 いえいえ、気持ちはあります。役者ですから。
糸井 たまに出るね「役者ですから」が。
小林 (カメラのほうを向いて)
ですから、アクセスください。
あ、ろくでもない女が来るかも・・・
・・・いや、そんなことないですけど
・・・何で俺はここでことわりを入れるんだよ(笑)。
糸井 これで「優しい」とか言われるよ。
ところで、シブいって呼ばれるのは、
どういう気持ち?
小林 俺、シブいって言われてるの?
それ嫌だな。誉め言葉なのかなあ?
でも、いいとは思わない。
自分のなかで持っていたいのは、
浮遊感と言うか、
お前、その歳になっても、
全然地に足ついてないよ、みたいな。

(つづく)

2000-05-19-FRI

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