不正解、食べられます!
タルゼッタ カティヌス食毒不明

さてさて、今回ご紹介するのは、
その名も、タルゼッタ カティヌスという、
摩訶不思議な名前を持ったきのこですが、
ちょっとその前に、改めて、写真をご覧あれ。

お椀のような形をしたクリーム色のきのこ、
タルゼッタ カティヌスの左隣でつん、と立っている、
純白で儚げな植物に、ご注目。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、
初夏〜夏の森でおなじみの、ギンリョウソウです。
(漢字で書くと「銀竜草」)
林床でひっそりと生きる真っ白けの姿から、
ユウレイソウ、あるいは、ユウレイタケ、
などと呼ばれることもあります。

植物(ツツジ科)なのに、何で真っ白なのか?
そう、植物を植物たらしめている、
あの葉緑素を持ってないということですね。
葉緑素を持ってない、ということは、
植物の植物たるゆえんである、
光合成をすることができないんです。
(光合成をする必要がない?)

じゃあ、どうやって、生きているのか?
なんと、ベニタケ科のきのこに寄生!
つまり、生きる栄養のすべてを、
ベニタケ科のきのこに依存しているのです。

昔は、腐生植物などと呼ばれていたのですが、
今は、菌従属栄養植物と呼ばれています。
ギンリョウソウはその代表格です。

何年か前に、種を運ぶのにゴキブリが一役買っている、
という研究結果が発表されて話題になりました。
(ゴキブリのいない道東は別の昆虫……?)

植物にもいろいろあるんですねえ……。
ギンリョウソウも、実に興味深いっす。

さてさて。

我らが主役のきのこ、
タルゼッタ カティヌスの話を……(笑)。

まず、この、へんてこりんな名前なのですが、
和名が無くラテン語の学名をそのまま使用してます。
理由がわかる方は、ぜひ、ご教示ください!

発生は、夏から秋にかけて、
森林の地面、落葉や落枝の間など。

椀の直径は1〜5cmほど。
内側は、なめらかでm淡いクリーム色〜淡黄土色。
外側は、同色で、白い短毛を生じてビロード状。
縁に、のこぎりの歯のような切れ込みがあります。
無柄、もしくは、短くて太い柄を持つことも。

食毒不明。

まあ、日本語の名前がついてないくらいなので、
あまり研究が進んでないのかもしれません。
小さいし、触ると、ぼろぼろ崩れてしまうので、
食用に向かないことは明らかですが……。

ちなみに、ベニタケ系のきのこは、
木々の根っこと繋がって互いに栄養のやりとりをする、
菌根菌(共生菌)です。
つまり、ギンリョウソウは、
他の木々が光合成をしてつくった栄養を、
ベニタケ科のきのこを間にはさんでもらっている、
とも言えます。

自分で光合成をしないで人にさせて、
その上前をはねて生きている……。
なんてステキな生き方なのでしょう……(笑)。
すごいなあ、ギンリョウソウ。

このコンテンツでは、
				きのこの食毒に触れてますが、
				実際に食べられるかどうかを判断する場合には、
				必ず専門家にご相談ください。