不正解、食べられません!
アシベニイグチ毒

アカエゾマツや、トドマツなど、
見渡すかぎり針葉樹がたくさん生えていて、
その間を縫うように、ダケカンバやミズナラなど、
広葉樹がちらほら……。

雌阿寒岳山麓に広がる森でよく見る、
それこそ、いちばん基本的な景観なのですが、
森好き、そして、きのこ好きとしては、
もうこれがたまらないわけです。

針葉樹は常緑で冬でも青々としているので、
地面、いわゆる林床に太陽の光りが届きづらく、
広葉樹の森などでよく見かけるような、
笹薮になりづらいんです。

ササが生い茂ると、歩きづらいのはもちろん、
視界が遮られてしまうので、
くまさんがいてもなかなか気づきづらいし、
(くまさんも人間に気づかない!)
なにより、ダニの温床となったりするので、
あんまり足を踏み入れたくないわけです。

ですから、針葉樹を中心にした天然林は、
まるで整備したように下草があまり見られず、
日本庭園のようにコケが生い茂ったりして、
(日本庭園が森のマネをしているわけですが)
ああたまらん!という気持ちになるわけで。

そんなコケの絨毯の上に腹ばいになり、
背景の美しい森を意識しつつ、きのこを愛でる……。
なんて、贅沢な!

アシベニイグチは、主に夏に、
トドマツなど、針葉樹の林地から発生します。

傘の直径は、10〜20cmくらい。
はじめは球形でやがて開いて平らなまんじゅう形に。
表面は帯緑桜褐色(すごい色!)で、乾燥し、
微細毛が生えていることもあります。

傘の裏は、微細な孔が連なる管孔になっていて、
黄色から徐々に緑色に変化していきます。

柄は高さ7〜12cmほどで、同幅。
上部は美しい赤、下部は暗赤褐色。
ゆえに、アシベニイグチ、です。

触ったり傷つけたりすると、
肉が淡青藍色に変色します。

毒。
誤食すると食後数十分から1時間ほどで、
腹痛、下痢などの胃腸系の中毒症状が出て、
ひどい場合は、脱水、痙攣、ショックなどの症状も。
ムスカリンという毒成分も含むので、
発汗、呼吸困難などを引き起こす場合も。
どうぞ、ご注意を。

この写真を撮影したのは雨上がりなので、
森も、コケも、しっとり。
何回も言いますが、ほんと、たまりません!

このコンテンツでは、
				きのこの食毒に触れてますが、
				実際に食べられるかどうかを判断する場合には、
				必ず専門家にご相談ください。