ご用心!食べられないんです!
オオホウライタケ食不適

白神山地がなだらかに日本海へと落ちるあたり、
青森県深浦市にある十二湖は、何を隠そう、
名前こそ十二湖ですが33の湖沼が点在しています。

神秘的な青い湖水をたたえた有名な「青池」をはじめ、
美しく透明な湖沼をつなぐ小さな沢や湧水があり、
「水」を楽しむイメージがあるのですが、
実は、素晴らしいブナの森に囲まれた場所なんです。

ぼくは、ほぼ毎年、初夏と秋、2回訪れてますが、
もちろんお目当ては、ブナの森、というか、
ブナの森で生きているきのこたちです。

観光名所の「青池」とその周辺以外であれば、
車道や遊歩道が整備されている割には人影が少なく、
人目を気にせず、大胆に、腹ばいになって、
きのこを見ることができる安心感がまた素晴らしい。

訪れた、とある初夏の早朝は、生憎の雨。
しかし、森の木々は、しっとり、生き生き……。

雨音や、時折強く吹く風のざわめきに、
カラコロ、カラコロと、高音と低温が入り混じった、
モリアオガエルの美しい鳴き声が重なり、
しばし、ぼ~っと立ち尽くしておりました。

しかし、そこは、年季が入ったぼくの「きのこ目」。
池のほとりで、小さなきのこに、ロックオン!
オオホウライタケです。

オオホウライタケは、晩春から秋にかけて、
種々の森の地面というか落葉の上に発生します。

落葉を分解するきのこなので、
子実体の下の落葉をめくると、
白い菌糸がマット状に広がっているのがわかります。

傘は直径3~10cmほど。
釣鐘形~まんじゅう形、やがて平らに開きます。
表面は藁色で、乾くと帯白色がやや目立ち、
放射状のくっきりとした条線があります。
傘の真ん中に丸いポッチがあるのも、
ホウライタケの仲間の特徴です。

ヒダは傘よりやや淡い色で、
けっこう幅が広くなっています。
(小ヒダも目立ちます)

柄は中実で高さ5~9cmくらい。
全体的にまるで皮のように強靭です。

食不適。
もし、食べられるとしても、
固くて噛み切れないかもしれません。

皆さま、森を訪れるときには、
雨の日もまた楽しい、と覚えておいてくださいね。
レインウエアを1着揃えておけば、
腹ばいになるときも、雨の日も、便利です、はい。

このコンテンツでは、
				きのこの食毒に触れてますが、
				実際に食べられるかどうかを判断する場合には、
				必ず専門家にご相談ください。