不正解、食べられません!
ニッケイタケ食不適

人間、誰しも、嗜好というものがあります。
食べ物から人の顔まで、ありとあらゆるものに、
これは好き、あれは嫌い、などと、
それぞれの人がそれぞれの価値観を持っています。

顔面の造作、ということになると、
もちろん、美男美女がもてはやされるわけですが、
科学的な解釈によるなら、美男美女ってのは、
個性的とは真逆の、平均的な顔をしているとのこと。

確かに、アイドルを職業をされている方々も、
多くの人が好きな顔をしているからこそ、
多くの人に支持されているわけで、
それは、特徴的な部分=個性的な部分が、
あまり目立たない=没個性ってことですよね。

もうひと昔もふた昔も前の話で恐縮ですが、
女性の顔写真を何百枚も何千枚も合成していくと、
つまり平均化していくと、後藤久美子の顔に似てくる、
というような、実験?検証?結果があったんです。
あのお顔がその時代の平均顔だったということですな。

1980〜90年代のアイドルの話なら、
得意中の得意なのですが、
ここからは、きちんと、きのこの話をします(笑)!

改めて、今回の写真をじっくりご覧あれ。

きのこを食べ物だと認識している、
けっこう多くの人たちは森でこのきのこを見つけても、
この形を見ただけで、食べられない、と判断し、
すぐに興味を失っちゃうと思うんですよね。

その「直感」は当たっているわけですが、
食べられる、食べられない関係なしに、
このきのこ、美しいと思いませんか?

どうです、この造形。
円を描くように幾重にも重なる様子は、
まさに花と花びらの関係のようにも見えますし、
自由闊達な織部焼の線を彷彿させます(笑)。

肉桂色がそもそもの名前の由来ですが、
中心部から白く縁取られた周縁部へ広がる、
色や模様がまた素晴らしいじゃありませんか。

そしてさらに、
そんなニッケイタケをさらに浮かび上がらせる、
数種類のコケによる緑の背景の妙……。

ついつい力説してしまいましたが、
もはや、これは、アートです、はい。

ニッケイタケは、夏から秋にかけて、
森やガケなどの地面から発生します。
傘は肉桂色というか錆褐色に近い感じで、
直径は1〜4cm、厚さは1.5〜3mmくらい。
同心円状の環紋と、放射状の繊維紋があり、
表面は絹糸状でなめらかな手触りです。

柄は、長さ1〜4cmくらい。
円柱状でビロード状です。

食不適。
固いし、繊維質だし、
食べて美味しいとはとうてい思えません。

皆さま、ぜひぜひ、
きのこは食べ物だ、という固定観念を捨てて、
ひとつの生物として観察してみてください。
あなたならではの楽しみ方がきっと見つかるはずです。
そうなると、次に、生きものとしてのきのこの、
好き嫌いができちゃったりするわけですが、
まあ、それはそれとして……(笑)。

このコンテンツでは、
				きのこの食毒に触れてますが、
				実際に食べられるかどうかを判断する場合には、
				必ず専門家にご相談ください。