不正解、食べられません!
カワラタケ食不適

きのこ=子実体は、生殖器官であり、その役割は、
次世代へ命をつなぐ胞子をつくり、かつ、放出すること。
多くのきのこは、地上に姿を現してから、
せいぜい1週間くらいで姿を消してしまいます。

しかし、例外的に、
半円形で、触るとかちかちに硬い、
いわゆるサルノコシカケの仲間には、
多年生で何年にもわたって成長を続ける種もあり、
長い月日を経て数十cmもの大きさに成長したきのこは、
神々しさすら醸し出しています。

カワラタケは、枯れた木々から、
まるで瓦のように、重なり合って発生するきのこで、
サルノコシカケの仲間と同じく多年生です。
とはいえ、ひとつひとつのきのこが、
どんどん大きく成長するわけではなく、
最大でも傘の直径は7cmくらいに留まります。

多年生ということは、
きのこの姿がめっきり少なくなる晩秋〜早春でも、
確実に姿を見ることができるということ。
いつでも、その場所へ行けば、
そのきのこの姿を見ることができる、という状況は、
きのこファンとしては実に心強いわけです。

この写真のカワラタケは、
阿寒川の源流部の森で見つけました。
最初は立っている枯木だったのですが、
ある年の冬の低気圧がもたらした暴風で木が倒れて、
こんな風に斜めに傾いてしまったのでした。

でも、何と言うか、この傾いた姿がまた乙でしょ?

さて。 カワラタケは、広葉樹、針葉樹を問わず、
立木、倒木、切り株などなど、
枯れた木から重なり合うようにたくさん発生。
木材を白く腐朽させる白色腐朽菌です。

半円形の傘は、固くて革のような触感。
直径は2〜7cmで、厚さは1〜3mmほどです。
やや青みがかった灰色が地色のように見えますが、
白〜黄色〜褐色〜帯赤色〜帯緑色〜帯黒色など、
けっこうたくさんの色が環紋をなしていて、
よくよく見ると、きれいなんですねえ、これが。

傘の裏側の孔口は、
円形〜多角形で、白色〜帯黄色です。

もちろん、食不適。
カワラタケから抽出された成分から、
クレスチンと言う抗がん剤がつくられており、
薬用(になるかもしれない)きのことして、
一部の人たちには知られていました。
しかし、クレスチンは、1989年に、
単剤での使用が認められなくなったほか、
(化学療法と併用する薬剤)
その他、もろもろの理由と併せて、
2017年9月末で製造販売終了とか……。

まあ、カワラタケにとっては、
そんなことはまったく関係ありませんが。

ちなみに、この写真の木は、
撮影した翌年には完全に倒れてしまって、
倒木と化してしまいました。
四季おりおりの背景とからめて、
いろいろ撮影しようと思っていたのになあ。

このコンテンツでは、
				きのこの食毒に触れてますが、
				実際に食べられるかどうかを判断する場合には、
				必ず専門家にご相談ください。