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| かっとびメリーの 「行って来まーす!」 |
| かっとびメリーの呼び名はだてじゃない。 とにかく、行って来まーすという声を聞いた時には、 もう、そこにはいないのだ。 「どこに行くんだ?」 「あ、そう、そうだ。どこでしたっけ??」 これは、実話です。しょっちゅう、です。 そういう人間は珍しいので、それでいいのだ、です。 知りたいことや、興味深いことがあると、 あっという間に、その場所に行っちゃうのです。 木村くんに「来られちゃった」側の方々、 どうも、ありがとうございました。 |
| 英語の新聞ってどうやって作っているんだろう。 「ほぼ日事件簿」でも紹介しましたが、 少し前に、darlingが、 英字新聞のデイリーヨミウリに取材されました。 そのときのインタビュアーのぎんこさんというかたは、 取材後もナイスなメールをくれていたのです。 メールをおもしろがっているうちに、 ぼく木村は、英字新聞をつくっている現場に、 行きたくなってきました。 日本発行の英字新聞は、日本でありながら、英語。 だけど、日本で読まれるのが大部分で。 微妙な立場です。 その英字新聞、どういうひとがつくってるの? 単純に興味が湧いてきました。 何かのヒントをもらえるならいいな、 軽い気持ちで、ぼくはぎんこさんに、 「行ってもいいですか?」 とメールできいてみました。 快諾。わーい! 読売新聞社 デイリーヨミウリオフィス 読売新聞本社の5階が、 デイリーヨミウリのオフィスでした。 オフィスのなかに入ると、 コピー機のような機械からひっきりなしに 「ジジジジ、ジジジジ」 スーパーのレジみたいな音がきこえてきました。 ぎんこさんが教えてくれたことによると、 APやロイターなど外国通信社からの 最新ニュースだというのだ。プレスだね。 このオフィス1フロアで 印刷以外のすべてをやっているんだって。 驚いたよ。もっと大きな組織だと思ってたから。 政治経済エリアとか、学芸エリアとかに 別れているのかと思ってたら、 日本語の読売新聞を英語に翻訳するのから 英語の記事を書くのに至るまで、 基本的には誰でも何でもやるのだそうです。 ぎんこさんや多くの日本人スタッフは、 ほとんどまずは英語翻訳スタッフとして入社します。 「デイリーヨミウリ」は、 あくまで読売新聞本紙があって、というかたちだから 翻訳作業がけっこう大きなウエイトを占めるのです。 だから、英語教師をしてきたひと、 貿易会社に勤めていたひとなどなど、 ここに勤めるかたの経歴は英語がらみになる。 スタッフのかた でも、最初は小さい記事を英訳しているのですが、 徐々に、じぶんでオリジナルの英語の記事を 書きたくなってくるのだそうだ。 ぎんこさんなんかその典型で、 自分の署名をつけた記事を今たくさん書いてるし。 APやロイターのものを流したり、 読売新聞本紙を英語訳するのだけでも かたちとしては新聞を毎日つくれるんだけど、 「もっといいものにするためには、オリジナル」 という考えになってくるみたいです。 ぼくのきいたひとのうちの多くに、 この思いは共通していましたよ。 「日本に興味を持っているひとだけでなく、 ビジネスでたまたま来た外国人のかたが 一番知りたい情報を発信したい。 そのためには独自に特集を・・・」 確かに、APでは日本国内のことを 日本にいる以上の情報ではカバーできないし、 読売新聞だって、日本人用ですもんね。 デイリーヨミウリのなかにある要素を見ると、 何をどうどこで発信するかの悩みの角度が鋭くない? つまり、小さい規模でやりたい放題にやれて、 オリジナルな情報源を求めていて、 しかも外国に通じさせる兼ねあいはどこじゃろか、 みたいな悩みは、今後ぼく木村にとっても 考えるうえでいろいろなヒントになるな・・・ ま、それ考えると、話が長くなるので、おいときます。 とりあえず、そこにいるひとに会ったのが、 ぼくにとっては、単純に言ってすごくよかったの。 例えばそのうちひとりのかたは、 南アフリカの柔道のチャンピオンで、 もともと柔道の選手として日本に留学してきてたの。 でも、こちらに来てみると、 残念ながらアパルトヘイト下の 故国の状況が、外から見て嫌になってきて、 それで日本に住むようになって何十年、みたいな。 他にも、イギリスでスポーツ記者をつづけてきて、 その後に香港に移動して、 「サウスチャイナ・モーニングポスト」 という大きな新聞のスポーツライターになって、 2002年にワールドカップ日本開催なので、 おもしろそうだ、と デイリーヨミウリに移ってきたひとがいました。 「おもしろいと思うにまかせて 移動しつづけていたので、 ぼくはサッカー記事を書きつづけていても、 飽きるとか書けなくなることはないです。 スポーツライターにはむつかしいところがあって、 普通、何十年もひとつの競技を見ていると、 次に起こりうることをだいたいわかって来てしまう。 それが一番あぶなくて、 書けなくなる危険を生むと思う。 見ていてもどきどきしなくなってしまったら、 もう何を書いてもおもしろくなくなってしまう。 もしそうなったら、記者をやめるべきだと思う。 ぼくはやっぱりサッカーを好きなんだと思う。 だから、まだ、飽きていない。どきどきする。 毎週土曜日にJリーグを観にいっても、 すごく興奮するよ。 ぼくの友人で、イギリスでサッカー記事を 続けて書いて飽きてしまったひともいる。 イギリスの友人たちは、 みんなぼくのことをうらやましがっているよ。 香港や日本で観るスポーツはまた違ってくるから」 このようなことを、もうちょっと感動的な、 しかも噛み砕いた英語でしゃべってくれました。 優しさのにじみ出ているひとだったよなー。 長く話したあとに、最後は、 「君を見ていると、ぼくの若い頃を思い出すよ」 みたいなことを言ってくださって、 ちょーうれしー、とか言って握手してきたよ。 もちろん、ぎんこさんをはじめ、 日本人スタッフにもいろいろうかがいました。 日本語の新聞をそのまま英語にしても それは英語の新聞には適さない表現なので、 構造から変えて英訳するなんて話とか (だから、見出しも変化させるそうです)、 アートデザインをやっている記者のかたが、 いかにどう見せるのかと意図している点など、 いろいろと考えさせられたぜえ。 アートディレクション担当のかた レイアウトの本を見せてもらった。 つくりかたも遊べるんだよなあ。 しかも平均的に言って、デイリーヨミウリの 外国人スタッフの働く期間は3年くらいだそうで、 日本人スタッフの平均も5年くらいと、 思ったよりも回転率が高いから、 そこも今後よく考えてみたいところで。 そっちの組織論みたいな話には またいつか触れるかもしれませんが、 今日はとりあえず、デイリーヨミウリに どきどきして出かけていったよ、というお話でした。 |
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2000-05-07-SUN
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