みなさんほぼにちわ! 天久です。
家庭遺産の時間がやってまいりました。
今回も家族の思い出と歴史がつまった家庭遺産を
3点紹介いたします!

家庭遺産は12月静岡で開催予定の
「家庭遺産展」
との連動企画です。
募集は今月20日までとなってますので、
お早めのご応募よろしくお願いします。
それではさっそく、遺産巡りの旅に出発しましょう!

我が家の家庭遺産は、
私が小学校の工作の授業で作ったテープカッターです。
セロテープの回転が波の動きとマッチして、
より躍動感を出しております。

当時、担任の先生は褒めてくれなかったのですが、
これを家にもって帰ったら親父がたいそう喜んで、
そのまま実家の電話台の場所に25年間鎮座しております。
ちなみに裏は反転した富岳三十六景となっております。

所有者ネーム  オオモリンピック

実に豪快な家庭遺産です!
世界遺産の富士をモチーフにしたところが
また憎い。
勢いにつられて必要以上のセロテープを
出してしまいそうです(笑)。
この名品に対して評価がなかったことが
信じられません!
僕ならこれ、売ってたら普通に買いますよ。
お父さんたしかな慧眼をお持ちだったと思います。
孫の代まで自慢してください。




実家は大阪の食堂なのですが、
あるとき帰省してみたら、
店の前になぜか噴水ができていました。
ちょっとした大工仕事とか大好きな父ですが、
まさか噴水を作るとは‥‥。
意味わからん、ツッコミ待ちか、と思いましたが、
スルーしたまま時は流れ、父は昨年他界。
どういうつもりで作ったのか聞いておけばよかったと
今さらながら少し後悔しております。

その実家も諸般の事情で売却してしまい、
来年には取り壊されてしまうものと思われます。
当然、噴水もなくなってしまいます。
なので、家庭遺産の定義からは外れるかもしれませんが、
せっかくなので申請させていただきます。


所有者ネーム 新保信長

これは貴重な家庭遺産、否、家庭遺跡です!
お店にちょっとしたシンボルを
加えたかったのでしょうか。
お茶目なお父さまの人柄が偲ばれます。
しかし、この前に立つだけで、
かつての店の繁盛振り、
そこで忙しく立ち働くお父様の勇姿が
目に浮かぶようです。
城跡ならぬ、店跡といったところでしょうか。
ロマンです。

来年には取り壊されてしまうとのこと、
誠に残念ではありますが、
ぜひ看板だけでも保管してください。
もし可能なら、
噴水も最後にひと噴きをさせていただきたい。
きっとお父さまもお喜びになると思います。




山中湖に旅した時に、湖畔の藪で見つけました。
それはまるで「青年よ大志を抱け」の
クラーク博士の像のごとく、
遠い未来を指し示す
立派な人物の姿を象っているように見えました。
手に取ってしげしげ見ると
どうやらそれは木の根っこのようです。
台風が過ぎ去った後だったので、
土の中から出てきたものかもしれません。
自宅へ持ち帰ってから、人間っぽく立つように
足の部分を削って飾っていましたが、
家族の反応はあまりよろしくありませんでした。

しばらく持て余していたところ、
母が立派な角のカブトムシを捕まえてきたことで、
クラーク氏は脚光を浴びます。
ダンボールで作ったカブトの家に
クラーク氏は素晴らしい具合に収まったのです。
その後も、知人と一緒に作った
ラジオドラマの効果音のために、
このクラーク氏で机を叩いて
その音を収録したりと重宝してましたが、
ここしばらくは、隠居生活を送っておりました。

しかし、今年の夏の終わりに、
またすばらしい活躍を見せてくれたのです。
ある夜、玄関前でひっくり返っている
セミの幼虫を見つけた私は、
脱皮させるべく部屋の片隅で埃をかぶっていた
クラーク氏に停まらせてあげました。
すぐに脱皮は始まりましたが、
明け方、悲しい事に
幼虫は脱皮途中で死んでしまいました。
よくある事らしいです‥‥。
幼虫はそのまま、クラーク氏の肩口で
即身成仏となったのです。
様々な命の営みを見てきたクラーク氏は、
これからも我が家の命の営みを
部屋の片隅で見つめてゆくのでしょう。

所有者ネーム おおとし

実に存在感のある家庭遺産です。
たしかにこの造型は、クラーク博士。
首が後ろに反り返ってますが、
おそらく台風で飛んできた瓦に
頭をぶつけたのでしょう。
自然のオブジェは見立てが命、
大切なのは思い込みです。

カブトムシやセミを看取ってきたという歴史も
自然界のクラーク博士らしい逸話だと感じました。
これからも博士を慕い、多くの昆虫たちが
投稿者さまのご家庭を訪れることでしょう。
大切になさってください。
あと知人とつくったというラジオドラマも
気になります。



いかがだったでしょうか?
今回も素敵な遺産が集まりました。
毎回思うのですが、家庭遺産はその遺産を紹介する
所有者さまのエピソードが抜群に面白い。
一見「え?」なものでも、その背景を知ることで、
遺産はまったく別の輝きを放ち始める。
やはりモノに命を吹き込むのは
持ち主の思い出だと痛感いたします。

ところで今回でこの連載も6回目。
なんとなく遺産のジャンルらしきものも見えてきました。
届いた遺産に多く見られるのが、
こどもの工作、家族の手作り、
昔なんとなく集めていたもの、
家族の誰かが拾ってきたもの、
などです。
これらの品はもちろん家庭遺産にふさわしいですが、
それ以外の遺産も大歓迎いたします。
遺産を認定するのは貴方自身です。
今後もバラエティに富んだ遺産を楽しみにしてます!

それではまた次回、
素晴らしき遺産の世界でお会いしましょう!



2013-11-10-MON