東京の靴屋のせがれが
仙台の青葉学院大学というところの
法学部にですね。

よく覚えてますね（笑）。

ハイ、妙に覚えてます。
おそらく現役で受かったんでしょうね、
で、仙台に引っ越して、
アパートを借りて、
一人暮らし始まるぞっていう時から
物語がはじまります。

その主人公が、濱田岳さん演じる「椎名」。


濱田岳さん

そう、その椎名が、
ボブ・ディランの『風に吹かれて』を
口ずさみながら、
廊下でダンボールを畳んでるところに、
隣の部屋の男がやってきます。
「ディラン？」って。

「一緒に本屋を襲わないか」。


瑛太さん

広辞苑を奪うんだというんです。
それというのも、同じアパートに引きこもる
ブータンからの留学生のドルジに贈りたいんだと。
‥‥なんで広辞苑がほしいんだっけ？

引きこもりのブータン人が、
アヒルと鴨の違いについて
悩んでるっていうんですよ。
それを教えてやりたいけど、
普通の辞書に載ってないんで、
広辞苑を奪うんだと。
で、よく分からないながらに、
巻き込まれていくと。

よく覚えてるかと思ったら
うろ覚えじゃないの。

そのとおりです！
だって、ややこしいんだもん。
で、本屋を襲おうと。
「おまえはモデルガンを持って裏口に立って、
　もう一人味方がいるぞというふうに
　脅すだけでいい」
なんて言われて、
なんか押しに弱いその主人公の青年は‥‥。

すっごく押しに弱い顔してますよね（笑）。

ええ、見事なまでに
押しの弱い顔をしています。

それが濱田岳さん。
よく見つけて来ましたよね（笑）。

彼はですね、
『金八先生』に出てましたね。

ええ〜！

僕もテレビドラマに出てるのを、知ってました。

88年生まれだそうです。

一同

若っ！

ちっちゃいのよね。

そう、ちっちゃい。
こどもっぽさの残る、
いかにも新入生っぽい子ですよね。
愛情をたっぷり受けてすくすく育った感じの。
で、彼は瑛太君にですね、
「ペットショップの麗子に気をつけろ」
でしたっけ？

です。

そうです。

とうとつにそんなことを言われるんですよね。
それで、逆に興味を持っちゃうんです。
そしてその人に偶然会ってしまう。

大塚寧々さんですね。


大塚寧々さん

こっからはねえ。

こっからは無理だと思う！

前半はとにかくね、謎だけが重なって、
澱のように積もっていくんですよ。
で、その前半を退屈だと思って
止めてしまうと、損です！

一同

（笑）

そうなんです。

もったいないです。

そう、映画館じゃなくてＤＶＤだから、
そこで止めちゃう可能性があります。

『キサラギ』は、前の会話が
つねに次の展開への伏線だったけど、
これは前半が伏線で。

45分ぐらい伏線でした（笑）。

そう、それなので、注意深く観ましょう。
ぼくらのときも、前半、
糸井さんが途中で入ってきてね。

「ちゃんと観といたほうがいいぞ」。

「見逃すな」みたいな。
ね。その通りでした。

あのう、
ほかにも登場人物がいますよ。

います、います。
関めぐみさん演じる「琴美」。


関めぐみさん

ドルジの恋人であり、河崎の元カノ、
という人でした。

そして、とても印象的だったのが
松田龍平さんでした。

この人は‥‥前半は出てこない人、
とだけ言っておきましょうか。
印象的でしたねー。

この人は映画で見る度に
かっこいいなと思うんですけど、
前半、観ている頭の中がもう完璧に、
出来ちゃってるところを、
一回リセットさせてくれるくらいの存在感が、
バッと出て来た瞬間にもうあったんですよね。
彼が出てくることで、
新しい物語としてスタートして、
見直し始められるっていうのが、
すごいなあと思いました。

普通に、鈍くさい人が入ってきても、
なんかなんで急に出て来たの、
みたいになるもんね。

このぐらいの人でないと無理だよね。

そう、そう、そう、そう、そう。

このぐらい美しくないとね。

そう。はかなくもあり、強くもあり、
怖くもあり、よく分からないところもあるし。
キャスティングが素晴らしい。

全体的に、キャスティング、
素晴らしいですよね、確かに。

瑛太さんもね‥‥、ほんとに、
大したこと言えないですけど、
とにかくかっこいい（笑）。

（笑）

すいません。断然好みです。

なるほどね、好みですか。

はい。

僕も瑛太さんが印象的でした。
なんていうか、その････、
顔立ちとか、あと佇まいが、
その雰囲気がよかった気がしますね。

印象的という意味では、
僕は、関暁夫がいやでした！

（笑）

ハローバイバイの。
都市伝説の。
映画の中では嫌われ役で、
たしかにはまり役ですよね。
そんなに嫌いになっちゃった？

もう、３か月くらい、
トラウマになるくらい！
テレビで声が聞こえると、
「うわっ！」って思うくらい。

かなり引きずったね（笑）。

この悪いやつ、
３人組が出てくるんですけど、
その悪い３人組にひとり女性が
入ってるっていうのが、すごくいや！

（笑）。

そうなんですか。

すごくいやでしたね。
変なリアリティーがありますね。
男をけしかける感じがね。

すごいセリフがありましたね。

はい。言えませんが、
女が口にするせりふが
いちいちいやでした。
その、女性がいる悪い３人組の
リーダー格が、関さん演じる
「江尻」でした。
彼もたしかにすごくいやでしたね。

山下さんは、印象的だったのは
その３人組なの？

いえ、ひとり選ぶとしたら
ぼくは主人公「椎名」役の
濱田岳くんですよ！
やっぱり妙に後を引きますよね、この人って。
すごく気になるし、
巻き込まれるっていうタイプとしては、
もう素晴らしいキャスティングだったと。
で、この人のお父さんが、
なぎら健壱さんっていうのは、
もう、ものすごく父子っぽい。

リアル親子（笑）。

リアルだよね。
この彼の物語として観ても
相当いいですよね。

で、あの巻き込まれるだけじゃやっぱりだめで、
どっかで自分で余計な好奇心みたいなものも
出てくるんですよ。
だから話が転がって行くっていうのがあって。
彼は彼で巻き込まれて、
なんか前に勝手にこう、尾行したりとか、
そういうことするじゃないですか。
そういうこともしそうな感じもするしね。
非常によかったと思います。

私ねえ、ジャッキー・チェンに
似てると思うんだけど？

似てますかねえ。うーん。

似てない！（笑）

似てるよー。
でもわたしは、ドルジ役の
田村圭生さんが気になったなー。

カリフォルニア生まれらしいですよ。

わたし、けっこう好み。

ギバちゃん顔じゃなかったですか。

濃いめが好きなんですね。

彼、これからに期待よ？
シェフは？

大塚寧々さんのはまりかたはもう、
言うに及ばずなんですけど。
関めぐみさん、すごく正直で無鉄砲で、
正義感が強いっていう、
ものすごいいい子じゃないですか。
で、ものすごいいい子なんだけど、
ちゃんと美人というか。
なんかね、リアリティーありました。

でも、女の友達がいなさそうなタイプ。

そうなんだよね。友達少ないんだ、多分。
そこら辺も多分ね、この人不器用なんだなあと。

そう、そう、そう。あのう、
彼氏はいるが、友達はいないタイプ。

で、身持ちが固いっていうことは分かりますよね、
あるストーリーでね。
ドルジと恋仲になる役なんですけど。

恋仲（笑）。

恋仲（笑）。

古臭いですか。

（笑）

おもな登場人物は
そんな感じでしたね。
ものがたりは、謎めいた河崎のことを
しらべていくうちに、
河崎と、ドルジと、琴美のあいだに
とてもせつないものがたりが
かくされていた‥‥というふうに
進んでいきます。
語れるのは、ここまででしょうか。

そこまでは、公式ＨＰに載っていますね。
そこまでにしておきましょう。